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第15話

「やっぱダメだ、こんなに近づかれると、抱きしめたくなる」 僕を抱きしめたまま、そう囁く。 「うーん…そんなに無防備かな?僕…」 少し不本意に呟くと…。 「あったかい…」 なんとも嬉しそうな声の幸田。 「むー、仕方ない、コレくらいなら」 払いのけたいのを我慢する…。 僕は、ふっとあることを思い出して… 「あ、そうだ、大事なことを忘れてた。…この前は、おもいきりお腹蹴っちゃってごめんね…いきなりだったし、アト残ってない?」 謝る僕に幸田は…。 「青アザできた…」 ボソッと怒ったような響きの声で言う。 「…ホントごめん、武術習ってて…」 怪我をさせてしまった罪悪感で、下手に出た僕を見つめてポソっと呟く。 「…Kiss」 「は?」 聞き返してしまう。 「…Kiss、許してくれたらいい…」 幸田は、整ったカッコいい顔を微笑させ、みかえりを要求してくる。 「はいー?僕たち友達だよね?」 一応、聞いてみたけれど… 「そう、フレンドリーなKissだぜ!くすのきっ」 「はぁ?ぇー…、ぁー、う゛ーん…」 幸田の言葉に、かなーり苦悩する僕。 その僕を期待で瞳を輝かせながら良い返事を待つ幸田、僕としては嫌だけど… 「……うーん…わ、分かった…い、言っておくけど寮以外の場所じゃダメだからね!」 幸田の瞳におされてOKしてしまう…。 「やった!俺って幸せ~っ」 幸田は、さらに僕を抱きしめながら喜んでいる。 マズかったかな…やっぱり。 「でも、それ以上は絶対ダメだからね…」 不安にかられつい言ってしまう。 「え?それ以上って?」 「あっ…」 「…それ以上、のコト…?」 何やら想像するように呟く幸田。 僕は慌てて… 「あーッ!なんでもないっなんでもナイ…」 あらぬ事を想像されるだけでも嫌だ~、と、幸田から離れて声を出してしまう。 「なんだよっ教えろよ、それ以上のコトしたことあるのか?」 興味深々に問ってくる。 「ないないっ!まったくナイよっ!」 早くこの話題から逃れたくて頭を振る。 「…ケチ」 ぼそっと不機嫌に呟いている。

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