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第16話

「いーの、僕、部屋に戻るから、はい、今日の実習記録!このレポート提出明後日までだから、じゃまた明日ね」 早々と伝達事項を伝えて帰ろうとする。 「待って!もう少しここに居て欲しい」 急に頼むように僕の腕を掴んで言う幸田。 「なんで?」 軽く首をかしげ聞き返す。 それをみて幸田は、ベッドから立ちあがり僕に近づいてくる…。 立つと僕と幸田の身長差は20㎝以上あるから見上げるカタチの僕。 身長156㎝の僕には、人を見下ろすなんて芸当できっこない。 羨ましい奴。 ヒソカに心で思う。 「…ひさしぶりに逢った気がするから」 幸田はマイペースに意味不明な言葉を呟いている。 「…?」 「その瞳…好きだな…」 その言葉と同時に僕の髪に触れそのまま後ろ頭を押し近づけるように、口づけてくる。 優しいソフトキス。 唇が離れて瞳を合わすと、ニコッと笑う幸田がいる。 僕は、視線をいったん下げて軽く唇を拭いながらポツリと言う。 「そういうコトね…結構、男相手だと、ぞくぞくするね…これ」 「ホント?俺は、ドキドキする」 本心なのか、かろやかな口調の幸田。 「…あっそう」 「お前、男に見えないし…」 ボソっと呟く。 「なんか言った?」 ムカっと拳をつくる。 「いいえ…」 素早く逃げるように言葉でかわす。 僕は大きく息をついてぼやく…。 「…あーぁ、同性でキス許しちゃって…僕らってやっぱホモかな…」 「その言い方には反対しまーす!」 とか言いつつ、身長差を利用して、僕の頭の上に頬をのせ、カワイーとか頭にくる言葉を吐きながら、ぎゅーっと抱きしめてくる。 …けっこう苦しい! 「僕だって嫌だよッ!」 その重圧から逃れながら怒り、言い返す。 あのまま落ち込ませていた方が大人しくてよかったなぁ…。 僕の後悔などつゆしらずの幸田、調子に乗ってスキンシップをはかってくる。 「あのね、幸田とは科が同じだからストレートにいったら大学卒業まで同じ課程なワケ、で、今モメごとになったら先々大変だから、あくまで友達として接するんだからね!」 強く言う僕だけど… 「O.K.!I love you~」 軽くかわされてしまう。 「全然O.Kじゃなーい!」 ……ホントに言うべきだったのかな…アキ兄? 《友達のキス》終了。 →《キスのリユウ》へ続く。

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