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第19話
「う、…た、体調良かったらね」
そうかわすけど…たぶんムリ、あの広さと深さ…絶対入りたくない、泳げないし。
「むー、そっか!まだあるぜ、くすのきの裸見れる時!」
何やら考えて、思い付いたように勇む。
「はぁ?」
ハダカ見る?
「一緒にフロ入ろー!くすのきっ」
調子良く笑いながら勝手なコトを…
「馬鹿!」
僕に抱きついてうっとおしかった幸田の頭を、バシっと叩いてやる。
「痛てー!暴力反対っ、すぐ手がでるな、くすのきって…見かけによらず!」
「幸田が変な事ばかり言うからだよ!」
プイと怒る僕‥。
「別に、変なコトなんて言ってないじゃん。思った事、素直に言ってるだけだし」
「それが変なんだよ…も、少し考えて話してほしいな、もう」
ま、考えても本人に、まったく悪いという気がないんだから変わらないと思うけどね。
「くすのきって、隙ないよな…」
じーと、僕を見て言う。
「特に幸田の前ではね!」
隙をみせたら何されるかわかったモンじゃないから。
「ちぇ、つまらん!」
いったん、身体の接触を解く幸田。
幸田にとって何がおもしろいコトなのかもイマイチわからない。
聞くのも恐いけど…。
また、しばらくして僕にまとわりつきながら…。
「…こうじ!」
ハートマークを飛ばしながら名前で呼んでくる。
「っ待った、名前で呼ぶのやめてくれない?」
手をかざしながら言う僕。
許してしまうと調子に乗りそうだから…。
「ムッ!なんでだよ!工藤とは名前で呼びあってるくせに!」
なんだか本気で怒る幸田に、少し引きながら答える。
「それは…たくみは親友だし、付き合い長いから」
小学校の頃からの友のたくみ、名前で呼びあったっておかしいコトはないと思うけど…
幸田は会って一年も経ってない。
しかも何考えてんのか判らない危険人物、そんな奴を気軽に名前で呼び合えないよね。
心で大きく頷く。
「親友って、なにが…」
ムカっと表情を歪め続けて言う幸田。
「じゃ、俺も親友になるから、名前呼ばせろよ!」
ちょっと強引に言う幸田。
「何、言ってんの?親友って今日から親友、とか言って無理やりなるもんじゃないでしょ」
物覚えいいのに、こういうコトには無知でムリヤリな奴だよね。幸田って…。
「…じゃ、工藤はどうやってくすのきの親友になったんだよ!?」
くってかかるように問う。
「…そんな事、関係ないでしょ?幸田には」
答えるのもアホらしくて話をそらす。
僕の言葉に、幸田は眉間にシワを寄せ、しばし僕を見つめた後、こう問ってくる。
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