20 / 275

第20話

「なんだよ、言えないのか!?工藤はお前の何なんだよ!」 なんか、かなり逆情してる幸田、僕とたくみの仲を疑ってる? 「はぁ、幸田…少し落ち着いてよ、たくみは僕の親友だって言ってるでしょう。幸田みたいに嫌なコトも言わないし、一番信頼してる友達だよ。みんながみんな幸田みたいな思考回路してないんだからね!」 溜息をついてしまう僕。 幸田と話してると疲れてくる。 「……」 なにやら黙り込む幸田…おしゃべりな奴だから、それも恐いような気がする。 本気で怒ったかな…? 様子を伺うように視線を向けると…鋭い目つきで睨み返してくる。 「な、何?」 その視線に押され聞いてしまう。 「くすのきってさぁ、SEXした事ある?」 驚くような低い声で、幸田は問う。 「な…っ」 いきなりの問いに声が詰まる。 そんなのあるわけない。 幸田は、またわざと…。 そう思って無視しようとすると… 「…俺はあるぜ、メチャ、イイ女と…」 その言葉を聞いて、もう一度幸田をみる僕。 かわらず刺すような瞳で僕を見ている幸田… なぜか胸が押されるような感覚が走る。 「な、何が言いたいのさ!」 その剣気に負けないよう言い返す。 そんな自慢、僕になんで話す?意味が判らない。 「俺の誘いを断る女なんか一人もいなかった…」 淡々と話す幸田…。 「それが…初めてのヤツでも、喜んでバージンくれたよ!」 少し声を荒げながら攻撃的に言う。 結局何が言いたいのか…幸田は…。 (まさか…キスだけじゃなくて、求めてるのは…) ドクン…と心臓が鳴る。 「なんで、お前はっ、思う通り…」 「っ絶対ダメ!」 続けて怒鳴る幸田を制して声を出す。 絶対アキ兄みたいにならない… 自分は…自分のプライドがあるから。 「……!なんで駄目なんだよ、別にいいだろっ!初めてでもないくせにッ」 「はぁ?」 何を根拠にそういう言葉が出るのか…、でも、今の言葉で彼の目的もはっきりした。 すっと近づこうとした幸田に、僕は椅子から立ち上がり…拳を構え睨みつける。 「……あ、そう。俺にそういう態度取るんだ…ふーん」 口元は笑っているけれど、瞳は笑っていない幸田。 意味深なその言い方に、心の奥で恐いと思ってしまう。

ともだちにシェアしよう!