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第22話《それぞれの想い》

――翌日。 コウジはいつものように起きだすが、幸田の態度が気になって会いたくない気持ちで一杯になっていた。 (…また、気まずくなるのかな。もう、ケンカは嫌なのに…でも僕が、先に敵視しちゃったんだから、僕がケンカをふっかけたみたいになってるのかな…) 考えてても始まらない、早くご飯食べて学校行こう! 幸田は…今日は部活の朝練だから、もういないハズ。 一応、そろーっと個室を出る。 あんの上、幸田はいない。 一息ついて食堂へ向かう。 すると後ろからトンと肩をたたかれる。 「おはよー」 「わっ!」 かなりびっくりして声を上げた僕に、 相手も目をぱちくりさせて驚いている。 「コウジ?びっくりするだろ、朝からデカイ声出して…そんなに驚くか?フツー」 声をかけてきたのは、工藤たくみだった。 「はぁ、ゴメン、ゴメン!」 息をついて慌ててあやまる。 「なにそんなにビビってるんだ?」 何気に聞いてくる。 僕は軽く笑って… 「そんなんじゃないよ、ちょっと驚いただけ。たくみ、これから朝食?」 話をすりかえながら答える。 「そう、今日朝なんだっけ?パンかな?」 たくみも深くは聞くかず、話にのってくる。 「たぶんね」 そう答える僕の瞳に…今、一番、会い辛い人物の姿が飛び込んでくる。 食堂の入口から、じっとこちらを伺っている幸田。 気に入らないといった目つきだ…。 ふっと立ち止まってしまう。 けれど、その様子を見た幸田は、ふっと笑顔になり、こちらに近づくように歩いてくる。 ドクンと心臓が大きく鼓動を刻む。 たくみも僕の視線を辿って幸田に気付く。 「あ、幸田?」 たくみが声をかけると、幸田は片手を上げて…。 「はよー、工藤、楠木。アトお前らだけだぜ?」 フツーに通りすぎながら言葉をかけてくる幸田。 「え?マジっ」 「嘘…」 たくみ相手に会話している。 警戒しているのは僕だけ…

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