25 / 275

第25話

「いや、お前が変だってことを話してたんだよ…」 驚いて困惑している僕の代わりにたくみが答える。 「俺が変~?何をいうんだこの天才様を捕まえて!」 なにやら奮起した感じで言う幸田。 それを見て僕はポツリ…。 「…幸田って二重人格?」 「…んなわけあるかよ!」 普通に返事がくる。 本当に幸田がわからなくなって、無言でみていると… 「なに?そんなに見つめて…」 軽く笑いながら顔を覗きこんでくる。 「っ!」 急な幸田のUP顔に驚いて過剰に反応してしまう僕。 キスされるのかと思った…。 そんなワケないのに…。 「…ふ」 その動きを見て僕の瞳を覗きこんだまま、ニヤっと笑う。 なんだか恐…。 「おい!…あまりコウジをからかうなよ!」 たくみが僕を庇うように幸田に言う。 幸田はいったん無表情になり、そしてクスっと笑って… 「ふーん、じゃ…コウジはダメだけど、オマエはいいんだ?からかっても」 「はぁ?」 間に入ってきたたくみの、メガネを外しながら幸田は突然言う。 たくみはあっけにとられた顔… 「なんでコンタクトにしないんだ?結構、美形じゃん…」 続けてたくみに向いそんな事を言っている。 「幸田ッ!いい加減にしなよ!」 そんな幸田に、怒り今度はたくみを庇う。 たくみのメガネを取り返して… 「行こう!たくみっ!」 幸田を無視してたくみの腕を引いて行く。 じっと立ちつくしている幸田。 しばらく歩いて、たくみがぽつりと話かけてきた。 「……幸田は、いつもコウジにあんな嫌がらせ…してたのか?」 「……、ごめんね。最近…幸田が変になったのは、多分…僕のセイなんだ」 少しの沈黙ののち…僕はたくみに謝る。 「なんでコウジが謝るんだよ…」 僕を気遣うたくみ。

ともだちにシェアしよう!