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第28話

「でも…オレの場合は仕事契約のレイプだからな、お前はイイ方だぜ、ちゃんとコウのこと気に入って興味を持ってくれてる人が相手なんだから…全然違うと思うよ」 妙に説得力があるアキラの言葉。 確かに…アキ兄なんかに比べたら僕のこだわってるコトなんか凄くわがままなような気がする。 「アキ兄、うん…そうかも」 「逃げてたって変わらないしね…」 またテレビに視線を戻しながら付け足す。 その顔をみて、僕は… 「アキ兄って、やっぱり凄いね。つらいことでもそうやって…明るく話せて…落ち込みそうにない…」 ぽそっと言った言葉にアキラは… 「…誰だって落ち込むコトはあるさ。でも、オレなんか先の事悩みだしたら生きていけないだろ?…今が楽しければいいんだ、オレはね」 視線は合わせずTV視聴したまま静かに答える。 「今…か、僕…楽しんでないね」 ぽつりと言うと…アキラは…。 「……楽しまなきゃな、せっかく生きてんだから。お前だって遊べるのは学生の頃だけだぞ…」 「うん…」 僕は、医者になって父さんの病院を継がなくちゃならない。 結婚相手だって、親に決められるだろう。 本当はアキ兄が通るハズの道だったんだけど…。 アキ兄は、そのレールを外れる代わりに重いリスクを背負ってる。 僕とアキ兄、考え方は違うけど…。 僕は、アキラに向かって静かに伝える。 「…ありがとう、アキ兄」 「…コウは、可愛い奴だよな…素直で」 羨みを含んで言葉を出すアキラ…続けて。 「…コウも他人の手にかかるんだなぁ…ついに、なんか兄としては複雑だよ…」 微笑しながら言っている。 「…アキ兄、まだ僕、そこまでするとは言ってないけど…」 「経験はしとくべきだぞ~」 「どっちなのさ…」 ぜったいおもしろがってるよ… そんなトコがアキ兄なんだけど。 とりあえず今日は三人で楽しく過ごして… 明日学校で、幸田にいうかな… 学校じゃ、やっぱ言えないか…寮で聞いてみなきゃ。 幸田の気持ち、前は…お互いカッとなって…大切な事も見逃してしまってたのかも…幸田の気持ちを聞いた上で…僕が、答えなきゃ。 幸田は、悪いやつじゃないし、幸田の訴えや願いを、僕は誠意を持って聞かなかったから…幸田は怒ったんだよね。

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