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第31話
「昨日…夜に、幸田が来て…」
視線を合わせず話すたくみ。
「えっ…」
「コウジ、寮に帰らなかっただろ。その理由を聞きにきた…それで、幸田と色々話して…」
溜息を入れながら話す。
「…たくみ、アイツに何かされたの?」
たくみの話し方を見て心配になって聞いてしまう。
「……何かしてたのは、コウジの方だろ」
少し怒ったように返すたくみ。
「えっ…」
たくみの言葉に一瞬詰まってしまう。
「幸田に聞いた…でも、本人に直接確認したくて…」
ゆっくり溜めたように話しながら…
昨日の事を思い出す……。
「オイ、今日…こうじ帰ってないんだけど、工藤何でか知ってるか?」
夕食後…寮へ帰る途中に幸田に声をかけられるたくみ。
「え…、あぁ、なんか家に用があるって…」
何気に答えると…
「何の?」
さらに突っ込んでくる幸田。
「何のって…別に幸田、お前に関係ないだろ?」
「……」
なにやら黙る。
「幸田…最近、コウジをからかったりして、コウジを困らせてるだろ。そういうコトするから、コウジに嫌われるんだよ」
少し怒るように言い足す。
「フン、別に嫌われてなんかないよ、俺たちは毎日キスしてる仲なんだし…」
「なっ…!嘘だろっ!?」
信じがたくて否定し聞き返す。
幸田は、少し声をひそめ、耳うちするように言ってくる。
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