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第32話

「…お前だって、アイツとしたコトあるんだろ、何、驚いてるんだよ。アイツ、意外と軽いヤツだよな…」 それを聞いて、たくみは… 「ふざけるなッ!そんなワケあるかよ、絶対嘘だ!」 カッとなって声を上げてしまう。 「何ムキになってるんだ…もしかしてオマエ本当にキスもしたことないのか?コウジと…」 驚いたように見返す。 「……」 答えられず、黙ってしまう。 「ふーん…そっか、コウジもしてないって感じだったけど…マジだったんだ、お前らいつも一緒にいるからさデキてんのかと思ってた…」 たくみの反応をみて頷きながら話す。 「…コウジは同性でそんな事をするのを誰より嫌っているんだ。幸田がコウジにムリヤリキスしてんだろ!」 そう問いつめる。 「…違うって、コウジがしていいって言ったんだよ」 そう笑う。 たくみは幸田の言う事を疑い睨みつける。 「ホントだって、そんなに疑うなら本人に聞いてみろよ。もう結構なるかな…毎日ヘヤでキスしてるぜ」 少し自慢するように言う。 「…ウソだ、コウジが?」 信じられなくて言葉にする。 「フン、…じゃおマエより先に、キス頂いちゃったってコトか…なんか、すげーうれしーぜ!」 ご機嫌になり幸田は言葉を続ける。 「…工藤だってアイツのコト好きなんだろ?ダチじゃない意味で、親友なんて位置にいたら、一生…オレには勝てないよ」 また耳うちする。 「お、俺は…」 幸田の問いに、頭を横に振るが…言葉が続かない。 「ま、俺としては、親友でいてくれた方が楽だけどな、…コウジだって親友から告られてもヨケイ困るだけだからさ、ツライ立場だな…工藤も」 ニヤっと笑ってたくみに言う。 幸田の態度に腹がたって、たくみは… 「……、からかいや冗談で、コウジに手を出すなよッ!」 そう怒鳴るけれど… 「…何で?」 軽く笑いながら聞き返す幸田。 「ッ!」 遊んでいるような感覚の言葉に、たくみは、カッとなって幸田の顔を拳で殴りつけてしまう。 「ッテェ…ふふん」 殴られた所を手で覆いながら、微笑する。

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