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第33話
「何がおかしいんだよ!」
たくみが、さらに怒鳴ると…
しかし、幸田は…すっと近づいて…
「…安心しろって、俺、マジだから…」
急に真剣な瞳で伝えてくる。
「なっ」
その目に押されて詰まるたくみ。
「からかいじゃないならいいんだろ?…俺、本気で好きだからコウジの事。今日だって…寮に帰って来なくなったらどうしようかってメチャ気になってる。最初は…からかいだったかもしれない…でも、今は…」
本気でコウジの事を考えてる。
コウジと自分を試して分かった。
たくみは幸田の言葉を聞いてア然となるが…。
「っ…なら、なおさらお前を近づけるワケにはいかない!」
そう言い幸田を睨む…
「ふん、どうする?席も近くだし、寮も同室、俺、絶対有利だぜ?」
自信満々に言う。
「…っ、」
言い返せなくて苦い思いになるたくみ。
「…じゃーな、そっか、お前らデキてなかったんだ…ふーん」
ひらりと手を振って、やたら笑顔で去っていく幸田…
複雑な思いで立ちつくすたくみ――。
昨日の出来事を思い出して…手に小さく拳をつくり、たくみはコウジに向かって…
「幸田は…お前が、キスを許してくれた、寮でいつもコウジとキスしてるって言ってた…本当なのか?」
瞳を見て問う。
「…えっ」
「…本当に、お前…幸田とキスしてたのかよ」
「…それは」
まっすぐ聞いてくるたくみに、答えられないでいる僕。
「……」
黙って待つたくみ。
「…否定は出来ない」
視線を下げ、そう答える。
その答えを聞いてたくみは…
「っ!バカッ、なんで?…好きなのか、幸田のこと…」
勢いよく問いつめてしまう。
「…わからない、僕は…」
たくみの様子に声が小さくなってしまう。
「…見損なったよ、お前は…そんな奴じゃなかっただろ。今まで一度だって、そんなこと受けたことなかったじゃないか…なのに、好きかも分からない奴と…キスなんかして…」
なんだか泣きそうなカオをして言うたくみ。
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