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第34話
僕は…そんなたくみを見て、どうしようもなく辛くなる。
「…ごめん」
うつむいて…謝る僕。
「……」
「…ごめん、たくみ…」
信頼してくれていた親友の心を踏みにじってしまったんだ…僕は…。
「っ…くそッ」
追いつめられた子猫のように、ただ謝る姿を見てたくみは、たまらず。
僕を引き寄せ抱きしめる。
「…たくみ?」
少し驚いて呼ぶ。
「……」
俺たちは親友…
頭の中に変えられない想いが過ぎる。
たくみは…心の中で葛藤する。
コウジのコト…本当はずっと好きだった。
友達とかじゃなく…でも、そういう事、コウジは大嫌いだったから…俺だけじゃなく他の奴らも寄せつけない強さがあったから、俺は親友の位置でいれたのに、幸田なんかに心を揺らされて…ホント馬鹿だよ。
好きだって言いたい…幸田なんかより俺の方が、よく分かってるって言いたい…
けど…、
俺がそう告白しても、コウジは受入てはくれない…
親友の位置だからこそわかる。
コウジは一度だって俺を、対象として見たことはないから…
幸田が言うように、コウジを戸惑わせてしまうだけ…よけい苦しませてしまうだけ。
「…俺は、お前の…親友だ。だから、コウジが一時の気の迷いだけで突っ走ることが許せなかった…」
喉の奥まで出そうになった思いを抑え、たくみは親友としての言葉を伝える。
静かに抱きしめた腕を緩め放しながら…。
「たくみ…」
僕はたくみの言葉を聞いて…思った以上にたくみに心配をかけてしまったことに反省する。
「…怒鳴ってごめん…コウジ。わかってるんだ…」
たくみは頭を下げながら言う。
「え…謝らないでいいよ、たくみ…」
慌てて言う。
「たぶん…コウジは幸田のこと好きなんだよ」
あんなに嫌っていたコウジが…キスを嫌がらない、それだけですでに心を許してるってコトだから…
「たくみ…違うよ!」
頭を振る僕だけど…
たくみは続けて話す。
「それで…幸田もコウジの事が好きで…」
「えっ…嘘」
たくみの言葉に驚いてしまう。
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