34 / 275

第34話

僕は…そんなたくみを見て、どうしようもなく辛くなる。 「…ごめん」 うつむいて…謝る僕。 「……」 「…ごめん、たくみ…」 信頼してくれていた親友の心を踏みにじってしまったんだ…僕は…。 「っ…くそッ」 追いつめられた子猫のように、ただ謝る姿を見てたくみは、たまらず。 僕を引き寄せ抱きしめる。 「…たくみ?」 少し驚いて呼ぶ。 「……」 俺たちは親友… 頭の中に変えられない想いが過ぎる。 たくみは…心の中で葛藤する。 コウジのコト…本当はずっと好きだった。 友達とかじゃなく…でも、そういう事、コウジは大嫌いだったから…俺だけじゃなく他の奴らも寄せつけない強さがあったから、俺は親友の位置でいれたのに、幸田なんかに心を揺らされて…ホント馬鹿だよ。 好きだって言いたい…幸田なんかより俺の方が、よく分かってるって言いたい… けど…、 俺がそう告白しても、コウジは受入てはくれない… 親友の位置だからこそわかる。 コウジは一度だって俺を、対象として見たことはないから… 幸田が言うように、コウジを戸惑わせてしまうだけ…よけい苦しませてしまうだけ。 「…俺は、お前の…親友だ。だから、コウジが一時の気の迷いだけで突っ走ることが許せなかった…」 喉の奥まで出そうになった思いを抑え、たくみは親友としての言葉を伝える。 静かに抱きしめた腕を緩め放しながら…。 「たくみ…」 僕はたくみの言葉を聞いて…思った以上にたくみに心配をかけてしまったことに反省する。 「…怒鳴ってごめん…コウジ。わかってるんだ…」 たくみは頭を下げながら言う。 「え…謝らないでいいよ、たくみ…」 慌てて言う。 「たぶん…コウジは幸田のこと好きなんだよ」 あんなに嫌っていたコウジが…キスを嫌がらない、それだけですでに心を許してるってコトだから… 「たくみ…違うよ!」 頭を振る僕だけど… たくみは続けて話す。 「それで…幸田もコウジの事が好きで…」 「えっ…嘘」 たくみの言葉に驚いてしまう。

ともだちにシェアしよう!