35 / 275

第35話

幸田はあきらかに僕をからかってるだけだ… なのに…。 「…幸田は本気だって言ってた。そういう所、あんまり見せられなかったんじゃないかな…たぶん、コウジが引いてしまうと思ったから」 コウジはそういうバリア張ってるから俺だって分かる。 心で付け足して思うたくみ… (幸田が本気で僕を?) ばくぜんと考えてしまう。 本気なワケないよ…。 たくみは続けて… 「…コウジだって、いろいろ悩んだんだと思う。幸田のこと…だから俺が一方的に責めちゃいけなかったよな…急にコウジ取られたような感じがしてさ、子供みたいにヤキモチやいちゃったんだ…ごめんな」 笑いながらもう一度付け足して謝る。 「心配してくれて…ありがと。幸田には直接聞いてみる、そしたら僕の気持ちもはっきりすると思うから…」 「うん…」 たくみは、複雑な想いで頷く…。 「また…たくみに、悩み聞いてもらうかもしれないけど…」 「…いいよ、親友の俺にまかせなさい…」 告白した幸田には絶対なれない親友の位置。 一生裏切らないように…やり通す。 たくみは心の内で、自分に強く言いきかせる。 「僕…たくみの親友でよかった」 そう微笑む。 「……」 軽く頷き微笑み返すたくみ。 その言葉もいつかは素直に受けとれるハズだから。 昼休みはたくみと話をして終わってしまった… 幸田をほっておいてしまったけど… おそるおそる教室へ帰ってみると、幸田は少しだけ睨んでくる。 「来いよって言ったのになぁ…」 そう、耳うちする幸田。 「っ、ごめん…」 幸田に席とらせておいて行かなかった僕は悪いから、素直に謝る。 「…ま、いいか。ハイ、昼食ってないだろ?パン…工藤の分もあるけど、俺がやったもん食うかな?」 笑いながらパンをくれる。 「…ありがとう」 こういうトコ、気がきいててイイ奴だなって思うけど…。 「…工藤と、何話してたんだ?」 ぼそっと聞いてくる幸田。 「え…それは…」 たくみと話して、幸田の気持ちを間接的に聞いた。 僕の事が…好き? …ホントに? 「…あー、くすのきの、その瞳に弱いんだよ俺…後で聞くから…」 抱きしめたい衝動を抑えながら幸田は自分の席に戻って行く。 その姿を目で追ってしまうのだった…。 《それぞれの想い》終了。 →《告白のユクエ》へ続く。

ともだちにシェアしよう!