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第35話
幸田はあきらかに僕をからかってるだけだ…
なのに…。
「…幸田は本気だって言ってた。そういう所、あんまり見せられなかったんじゃないかな…たぶん、コウジが引いてしまうと思ったから」
コウジはそういうバリア張ってるから俺だって分かる。
心で付け足して思うたくみ…
(幸田が本気で僕を?)
ばくぜんと考えてしまう。
本気なワケないよ…。
たくみは続けて…
「…コウジだって、いろいろ悩んだんだと思う。幸田のこと…だから俺が一方的に責めちゃいけなかったよな…急にコウジ取られたような感じがしてさ、子供みたいにヤキモチやいちゃったんだ…ごめんな」
笑いながらもう一度付け足して謝る。
「心配してくれて…ありがと。幸田には直接聞いてみる、そしたら僕の気持ちもはっきりすると思うから…」
「うん…」
たくみは、複雑な想いで頷く…。
「また…たくみに、悩み聞いてもらうかもしれないけど…」
「…いいよ、親友の俺にまかせなさい…」
告白した幸田には絶対なれない親友の位置。
一生裏切らないように…やり通す。
たくみは心の内で、自分に強く言いきかせる。
「僕…たくみの親友でよかった」
そう微笑む。
「……」
軽く頷き微笑み返すたくみ。
その言葉もいつかは素直に受けとれるハズだから。
昼休みはたくみと話をして終わってしまった…
幸田をほっておいてしまったけど…
おそるおそる教室へ帰ってみると、幸田は少しだけ睨んでくる。
「来いよって言ったのになぁ…」
そう、耳うちする幸田。
「っ、ごめん…」
幸田に席とらせておいて行かなかった僕は悪いから、素直に謝る。
「…ま、いいか。ハイ、昼食ってないだろ?パン…工藤の分もあるけど、俺がやったもん食うかな?」
笑いながらパンをくれる。
「…ありがとう」
こういうトコ、気がきいててイイ奴だなって思うけど…。
「…工藤と、何話してたんだ?」
ぼそっと聞いてくる幸田。
「え…それは…」
たくみと話して、幸田の気持ちを間接的に聞いた。
僕の事が…好き?
…ホントに?
「…あー、くすのきの、その瞳に弱いんだよ俺…後で聞くから…」
抱きしめたい衝動を抑えながら幸田は自分の席に戻って行く。
その姿を目で追ってしまうのだった…。
《それぞれの想い》終了。
→《告白のユクエ》へ続く。
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