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第37話
「そうなんだ…ふーん、諦めたってわけか…」
「えっ…?」
「ううん別に、で、いろいろ何話したんだ?」
軽く聞いてくる。
「…幸田は、」
言いかけて止める僕。
何て言おう…僕の事好き?って聞いても本心の答えか分からないし…。
言いかけて止めてしまった僕を見つめて幸田は…両手を抑えつけるその手を放し、そっと囁く…。
「まさか…この俺が、本気になるなんてな…」
「…え、」
幸田は僕の髪を軽くとき…
優しく微笑みながら…
「…ライバルもいなくなったしね」
そう語りかけてくる。
「な、何の…」
近づく幸田に慌てながら言い返すと…。
片手を僕の頬にあて少し真剣な瞳で…
「……好きだ、コウジ」
静かに告白される…。
その言葉に僕が反応する前に、幸田は…そっと僕にキスをする。
「…ん、」
幸田の言葉と行動にドキッとしてしまい…抵抗を忘れている…。
「学校では普通でいい…けど、寮では恋人として見て欲しいんだ…俺の事…」
唇を離し…やさしく囁く…
「…っ待って幸田、本気で…」
幸田を押しのけながら問う。
「…うん、マジで」
ニコッと笑う幸田。
「…う、嘘だよ、じゃ何でからかうような真似したの?」
幸田は…僕をわざと無視したり、いろいろ…、僕にはからかっているようにしか見えなかった。
「からかうって…?」
首をかしげる。
「…昨日とかその前も態度で…」
「あぁ、それか、それは…試してたんだ」
軽く頷いて答える。
「試した?」
「そ、コウジと工藤と俺自身の気持ちをはっきりさせるため…」
幸田はまた身体を寄せながら囁く…
「…気持ちを?」
少し首をかしげる。
「一応、遊び半分な気持ちじゃ告白できないし…コウジだって、片手代わりじゃ嫌だろ?俺自身、同性に本気になってるのかイマイチ判らなかったからさ、だからお前怒らせたりして…」
思い出しながら話す。
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