38 / 275

第38話

「お前…工藤をめちゃくちゃ庇うだろ?俺より頼ってるし…すげームカついて、で、昨日寮に帰って来なかったろ、その時確実に判った。お前が居ないと落ち着かない…、本気だって…」 僕に触れながら言う。 幸田の言葉に…告白に、頭の中が真っ白になる。 (本気…幸田の気持ち、どう受けとめていいんだろう…キス、嫌じゃない…それどころか…ドキドキしてる) 好きなのかな、幸田のこと。 黙ってると幸田は…耳元で… 「…俺の恋人に…なって?」 囁く… 「…幸田」 「…ううん、今日からコウジは俺の恋人だ」 訂正して幸田は断定的に言う。 「えっ…こ、幸田?」 ムリヤリに決める幸田に驚くけれど… 「しっ…俺のコト、シュンスケって呼んで?」 幸田は僕の唇を人さし指で抑えながら…瞳を覗いて、そう切り出す。 「…こ、幸田…」 「俺、答えはYESしか受つけない…いいよな…」 なんとも強引…だけど、幸田らしい。 一度まかせてみようか…幸田に。 僕が本当に好きになってるのか…今は判らないけど、こんなカッコいい幸田に好かれて…僕はラッキーなのかもしれない。 そう思いながら… 「…シュンスケ?」 そう、聞くように名前を呼んでみる僕。 すると幸田は、優しく微笑み… 「…ずっと名前で呼んでもらいたかった。工藤とお前が呼びあってるの聞く度…」 嫉妬してばかりだった自分… 平然としてるコウジに苛立って… でも、と幸田は心で思って、指を首筋へ下げ…僕のカッターのボタンをスッと外してくる。 「こ、幸田ッ」 さすがに慌てる。 幸田に任せてみるとは思ったものの…いきなり身体を許せる僕じゃないし… さすがに…僕だっていきなり先に進むのは恐い。 幸田の手を止めながら声を出すと… 「…名前、名前」 苗字で呼んだ事をひっかけて言う幸田… 「…シュン、スケ、あの僕は…」 言葉を出す僕に、そっと口づけをしてくる。

ともだちにシェアしよう!