47 / 275
第47話
「う…それは仕方ないんです。呪いなんだから…」
「呪い?」
「ウチの家系…ずっと医者で、色々恨みも買ってるんです。だから背が伸びないのは呪いのせいで…って、笑わないで下さいよ先輩!真面目なのに…」
「ふっだって今時呪いって…思考回路もカワイーのな楠木って…」
「本当なんですって、兄キも、父も祖父もみんな背が高くならなかったんだから…ってカワイーって何ですかカワイーって!」
むかっとなって言い返す。
「お前って面白いな、楠木となら早起きしなきゃならなくても我慢できそうだ」
そう爽やかに笑う広井。
「遅刻しないでくださいよ」
ちょっと試すように聞くコウジ。
「お前こそな、」
「僕は寮だから…」
「俺も寮だぜ?楠木はどこの寮なんだ?東棟?西棟?それとも別の寮?」
「僕は、西の琥珀寮。先輩は?」
「うわ、いわゆる金持寮ってとこじゃねーか、すげーな!俺は東棟の柳寮、ボロだぜー、そうかー、金持寮なんだ。なら水曜と金曜の朝は琥珀に迎えに行っていいか?一度入ってみたかったんだよ俺、何号室?」
「202号室です、そんな変わりないと思うけど…」
純粋に瞳を輝かせる広井をみて普通に答え、首を傾げて言ってみる。
「風呂、部屋についてるんだろ?俺ら大浴場だもんな…」
「そうなんですか、知らなかった…」
「ほらな、違うだろ?」
そう柔らかく笑う。
先輩は気さくで面白い、瞬助のことなんか忘れていられる。
会話を楽しみながら…ぽつりと思うコウジだった。
ともだちにシェアしよう!