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第53話

そして教室に戻るコウジ。 先輩に会ったことで少し落ち着いたけれど… やはり瞬助のことが気になり教室内を探してしまう。 しかし、まだ帰って来ていない様子… 「コウジ、大丈夫だったか?」 たくみがコウジの姿を見つけ心配して近づいて聞いてくる。 「うん、たくみ…」 名前を呼びながら表情を落としてしまう。 「…コウジ?」 「後で話聞いてくれる?」 「うん…いつでも聞くよ」 「ありがとう」 いつものように優しく受け入れてくれるたくみに感謝する。 昼休みが終わるぎりぎりに瞬助が教室に戻ってくる。 コウジは気付いたが、気付かない振りをする。 今すぐは、普通に振るまえない… 瞬助もあえて話そうともせず、席につく。 そして午後の授業も終わる。 コウジはすぐ、たくみを呼んで教室を出る。 瞬助は部活があるはずだから… 「…ごめんね、たくみ…部活あるのに」 「いいって、コウジのこと心配だったし、やっぱりアイツとうまくいってないんだな」 「元々…瞬助とは違い過ぎるから…合うはずないんだよ」 俯きながら話す。 「…そっか?」 やや首をかしげるたくみ… 「価値観も人間性も全然…今までなんとなく流されてたけど、もうやめた」 「……」 「はっきり別れるって言ったから…アイツとは、終わり」 決意したことをたくみに伝える。 「…大丈夫?」 不意に心配してくる。

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