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第56話
「…なにも変わりないよ」
だけど、ちょっと恥ずかしくて現状を伝えないようにしようと思うが…
「変わりない?」
俯いたまま…
隠そうか迷ったけれどやっぱり…
「っあんなヤツなんか知らない…」
瞬助の言動には腹が立って、そう伝えるコウジ。
「やっぱ、なんかあったんだろ?顔に出てるもんな」
やれやれとなりながら優しく聞いてくる。
「……、アキ兄、SEXってそんなに大事かな?」
「…へ?」
唐突な質問に間の抜けた返事をしてしまうアキラ。
「ホント言うと、三ヶ月前にアキ兄に話聞いてもらってから、相手の気持ち確かめて瞬助と付き合う事になったんだ。でも、もう別れる。今日決めた」
「なんで?」
首を傾げる。
「求めてるものが違い過ぎるっていうか、……だってシュンは、僕とSEXがしたいだけで、僕の気持ちなんか考えてくれてないから…腹立って」
瞬とは合わないって思うから…
「でも、お前、彼のこと好きなんだろ?」
「…好きだよ、でも!僕じゃ、しゅんすけの考えについていけないし…無理だもん」
好きだけど…でも、流されちゃいけない。
「無理?」
「ねぇ、SEXってそんなに大事?僕には分からない…」
「うーん、まぁ価値観の問題だろうけど…彼はそんなにSEXばっかり強要するのか?」
「強要っていうか…まだしたことないけど…」
「えっ?」
アキラは拍子抜けな顔…
だけど話し続ける。
「それで、付き合ってるんだからSEXさせろって…最近はそのことばっかり、僕はまだ高校生だよ、しゅんすけは慣れてるかもしれないけど…僕は、しかも…絶対僕が女役だし…」
心の内で葛藤することをぽつりぽつりと伝える。
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