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第57話

「そんで断り続けてんだ…」 微妙な表情で呟くアキラ… 「…しゅんすけは僕が珍しいだけなんだよ、相手なんていくらでもいるくせに…」 むかついてきて、そう決めつける。 「でもさ、そんな彼がお前と付き合ってて、お前がいいって言ってくれてんだから…コウジもその気持ちを考えて受け止めた方がいいんじゃねーの?」 アキラは冷静に答えてくれる。 「僕が悪いってこと?」 「違うって、お互い様だけどな、その彼の気持ちもよく考えてみろって言ってんの」 さとすようにアキラは言う。 「アイツは、だから…SEXがしたいだけだから」 いつもやらせろやらせろって…そればっかり… 「本当にそれだけだと思ってるのか?」 さらに突っ込む。 「えっ?」 「誤解がない?お前が好きになった奴はそんなに薄っぺらい奴なのか?しっかり考えてみろよ、今のお前は相手の気持ちを考える余裕もなくなってるだろ…」 「…だって、僕は…」 話そうとして詰まってしまう。 「ん…」 「……、馬鹿だよね。あんなに同性を好きになるなんて考えられないとか言っておいて…実際、瞬のことを好きになってるんだもん」 息を着いて…ポソッと話し出すコウジ。 「……」 おとなしく聞いているアキラ。 「絶対こんなふうにはならないって…そう思ってたのに。なんでだろ、ほんと馬鹿だ僕…」 嘘つきな自分自身が許せない。 「…そう?」 緩く聞きかえす。 「…なんか、今までの自分否定することになるから、後ろめたくて…身体の関係持ったらもう後戻りできないし…なんか情けなくて…」 なんか心の中がごちゃごちゃだよ… 「…それはお前のプライドだよな…まぁ、身体繋げたからって後戻り出来ないとかは考え過ぎだと思うけど…」 「……僕、どうしたら…いいのかな…」 本当はどうすることがいいのか分からない。

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