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第62話
「瞬助にはついていけない…わからない」
負けずに言い返す。
「分かろうとしないからだろっ!」
「わかる訳ないよ、しゅんと僕は全然違うんだもん、そんなに怒るんなら…僕なんかやめて、なんでも好きにさせてくれる女子のとこ行けばいいでしょ!しゅんなんか、させてくれたら誰でもいいくせにっ」
コウジもカッとして言ってしまう。
「っふざけんなよ!」
そう怒鳴る瞬助。
「ふざけてなんかない、本気だから…」
こんなにツラいのに…
「瞬助とは別れたんだよッ」
瞬助には僕なんか必要ないはずだから…
涙が零れそうになって…
瞬助を突き飛ばして逃げてしまうコウジ。
「っ…お前、待てよッコウジ!…クソッ俺と別れたこと絶対後悔させてやるからなッ!」
カッとなってそう怒鳴る。
走りながら瞬助の言葉を聞く…
そんなこと…言われなくたって…
「瞬助のばか…」
ぽろっと涙が零れ落ちる。
後悔…?
もう充分してるよ…
どうして、うまく…いかないんだろう。
でも仕方ない…
瞬助は僕ひとりのものになんかなる筈ない…
飽きるまでのオモチャでしかないんだから…
あんなに女の子にモテる瞬が…
僕のこと本気で好きなんて…
ありえないもん…
これでよかったんだから、しっかりしなきゃ…僕。
どしゃぶりの雨の音が…コウジの心を余計憂鬱にさせる。
午後の授業も仕方なく受けるが…心は虚で、内容の半分も残っていない。
こんなんじゃダメだって思っても…すぐには立ち直れそうにない。
瞬とお別れして…それでもルームメイトで友達でいなきゃって思うと、重くて苦しい。
午後の授業もすべて終わり…僕はそそくさと寮に帰る。
雨の日は走れないため瞬は部活を休むので早く帰ってくるから…
コウジは先に帰ってたくみのところに逃げるつもりで…。
今日…瞬と一緒にいるのはつらいから。
そして瞬が帰る前にたくみのとこに行って遊びに出掛ける。
たくみは嫌がったりしないから、いつも頼ってしまう。
ごめんね…たくみ。
寮の夕食をたくみと食べて…意を決して自分の部屋へ戻る。
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