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第63話
しかし瞬助は帰っていない様子…
いつも寮の夕食には帰ってるし、雨の日なら尚更…
「……」
そういえば瞬…
一年のはじめの頃は、よく無断外泊とかしてた。
彼女の話しとか普通にしてて、この人は自分とは違う人種なんだって…思うと同時に自分にはないものを持ってて尊敬に近い感情も…もってた。
それでも…
いつからか、外泊も女の子の話しもしなくなって…
かわりに僕にキスしたり…
うるさいくらいまとわり付いてきて…
最初は変態扱いしてたのに…
瞬助の強引さに負けて、付き合うことになって…
あの時にはもう…瞬のこと、好きになってたんだよね。
一度も言ったことなかったけど…
「…どっちが変態なんだか」
重いため息をつく。
僕は…見た目がたしかに女の子みたいだから、瞬がからかいたくなるのも仕方なかったかもしれない…
でも…
瞬は、男らしくてかっこよくて…どう転んでも女の子にはみえないのに…
僕は…好きになってしまった。
これって…ヤバイのは僕の方…
だから認めたくなくて…
エッチまで…しちゃったら、忘れられなくなるのは僕の方かもしれない…
瞬には代わりの女の子…いっぱいいるけど…
僕には…
「しゅんすけ…」
本心は、彼の居場所が気になる。
けど、もう自分が干渉していいことじゃないから…
帰って来て、彼女ができたって聞かされても、笑って許さなくちゃ…
これが僕なりのプライドだから…
瞬助のあからさまな行動を、つらく思いながらも…コウジは自分の部屋へ戻るのだった。
《すれ違い》終
《ホンキの想い》へ続く。
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