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第68話
琥珀寮…深夜。
コウジは布団の中でなかなか眠れないでいた…
瞬助が帰ってこない…
それが気になってなかなか眠れない…
やっぱり、もう新しい彼女ができて…楽しく過ごしてるのかもしれない。
そう思うと…つらくて…
「はぁ、トイレ行って寝よ!」
頭を悩ませるのに疲れてきて…
トイレへ行くため自分の部屋を出る。
瞬助がいない部屋…
しばらく見つめていたが、トイレを済ませ、自分の部屋に戻ろうとした時…
ガチャ…と外の入口のドアが開く…
「え…」
外から帰ってきたのは…当然ルームメイトの瞬助。
「あ、…起きてたんだな、コウジ。俺…お前に話さないといけないことがある」
瞬助はコウジの姿を目にとめると少し嬉しそうな顔で…そう言いながら近づいてくる。
「な、何?」
驚いて動けないでいる。
パジャマ姿のコウジ…
触れたかった相手…
でも…
最近は触れることができなくて…
目の前に大好きな存在がいて…
触れたくて…
抑えられない…
「やっぱ、お前がいい…」
そう囁いて…
不意にぎゅっと抱きしめる。
同時に漂う甘い香り…
瞬助とは明らかに違う。
柔らかい女の人の匂い…
「……っ」
その匂いに絶えられなくて瞬助を突き飛ばしてしまう。
「っ!コウジっ待てって…」
コウジに拒否されて慌てた様子で腕を掴んで引き止める。
「ッ!」
キッと睨みつける。
なんで…そんな酷いことができるのか…
この男はッ!
他の女と寝てきたくせに…ッ
なんで…その腕で、僕を抱きしめる…!?
「ッ瞬なんか…最低だよッ!」
涙目になって…
パシッ!
コウジは思い切り瞬助の頬をひっぱたいてやる。
「ッ!」
怯んだ隙にコウジは部屋へ逃げ入る。
「コウジ!?俺の話しを聞けって!」
追い掛け部屋の前で呼びかけるが…
「話すことなんかないッ部屋帰ってっ明日早いんだからもう寝る!邪魔しないでッ」
布団に潜り、そう怒鳴り返す。
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