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第69話

「コウジ!」 呼びかけるが… 「……」 もう口を開かないように、布団を被って耳を塞ぐコウジ。 「…ごめん、また話…聞いてくれ、話さなきゃ駄目なんだ…」 息をつくように話す。 カッとなったら駄目… 「……」 耳を塞いでいても聞こえてくる… 低めの声…その言葉も無視する。 「おやすみ…」 コウジがちゃんと話しを聞いてくれるまで…待つ。 「……」 コウジは何も言わない。 「……」 瞬助は息をついて自分の部屋へ戻っていった。 しばらくして…搾り出すように言葉がでるコウジ。 「っ…瞬のバカ…」 これ以上何を話す気? 彼女の自慢でもする気? 「っ…馬鹿」 胸が押し潰されそうなくらい苦しい… 瞬助が…女の人と… その事実… それよりもっと…重傷なのは… 自分が…瞬助にとって、やっぱり遊びでしかなかったってことに…傷ついてる。 他の女の人のものなのに… 瞬助に抱きしめられて…嬉しいって思ってしまう自分… 簡単に裏切られてしまうのに… まだ瞬助の温もりを感じたいと思ってしまう自分が…情けなくて悔しくて… アイツのこと…本気だったって… 再確認させられて… それがツラすぎる。 いっそ、嫌いになれれば楽なのに… 自分… 馬鹿過ぎ… 未だ降り止まぬ雨が…コウジの心を映しだしているようで… 雨音と重なるような…苦しくてたまらない心を無理矢理、無視して、きつく瞳を閉じるのだった……。 《ホンキの想い》終 →《スキの理由》へ続く。

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