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第75話
「まただ…またカッとなって、くそっ」
抱きしめた本人は…苦虫を噛んだように言葉を吐き出す。
「な、瞬助!?」
驚いたまま…瞬助を見ようとするけれど、しっかりと抱きしめられているため、動けない。
「違う、コウジ…」
抱きしめたまま首を振って言う瞬助。
「…!?」
瞬助の急な行動に困惑してしまう。
「…俺は、嫌だったんだ、コウジが男からラブレターもらったことが…コウジのことをそんな目で見ているヤローがいると思ったら、ムカついて…」
コウジを強く抱きしめながら…イラついた理由を伝える。
カッとならずに…ちゃんと話し合うために…
「瞬助…?」
「ケンカがしたいわけじゃないんだ…話さなきゃ、ならない」
自分の気持ちをちゃんと伝える。
「…瞬、分かったから離して…苦しい」
かなりキツく抱きしめられ、少々苦しくなって…瞬助に頼む。
「…悪りィ」
素直に謝りながら…コウジを放す。
「…昨日から、話し話しって、何が言いたいの?僕たち別れたんだし…瞬には彼女がいるし…」
息をついてコウジは聞いてみる。
「いねぇよ、彼女なんか…」
首を振る瞬助。
「嘘!」
コウジは瞬助を睨みつけ言い返す。
「嘘じゃねぇ!」
さらに否定するが…
「…嘘だ、だって昨日…女の人のところに行ってたんでしょ!」
あの…香水の匂い、女の人と接触したから…
瞬助はべつの人と…
考えるとまた苦しくなってくるコウジ。
少し顔を俯かせる…
「……行ったけど、彼女じゃねぇし、寝てねぇし…、俺は!ずっとコウジが好きなんだ」
瞬助はちゃんと本当のことを伝えるが…
「嘘だ…そんなわけ…」
コウジは首を振る。
言葉が足りない瞬助の言い方では信じることが出来ず、さらに疑ってしまう。
「ッ!」
なかなか上手く伝わらない為、急くように…熱く口付けしてしまう。
「っん、や、…僕は!瞬のオモチャじゃない!相手なんか僕じゃなくてもいっぱいいるくせに!なんで僕をからかうの!?ほっといてよ!」
コウジはすぐに瞬助のキスから逃れ言い返す。
「目の前に好きな奴いんのに、ほっとけるかよ!」
瞬助もコウジの反応に焦ってイラついて言い返す。
「…好きって、そんなの…そんな言葉でみんな思い通りになると思ったら大間違いなんだから!」
コウジも引けずに言い返す。
「っじゃ、どうすれば分かるんだよ!キスしても、抱きしめても、好きだって言っても伝わらねぇ…俺はどうしたらいいんだ!」
コウジの両肩を掴んで苦い顔をして聞く瞬助。
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