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第76話
どうやったら伝わるか…もどかしくて、奥歯を噛み締める。
「…瞬助」
いつもと雰囲気の違う瞬助。
怒りも忘れ窺ってしまう…
「コウジのこと、本気で好きだし…別れたことも納得してねぇし、おまえだけなんだ…こんなに、苦しいのも…諦めたくねぇのも…」
真剣に…コウジの瞳を見つめながら、本当の想いを伝える。
「……でも、昨日…僕と別れたからって、すぐ女の人と寝れる瞬なんか…信じられない」
コウジも迷うように、気掛かりなことを聞く…
「寝てねぇって!」
再び首を振り、はっきり答える瞬助。
「そうやって…今までは嘘ついてうまくやってたんでしょ」
カッコ良くてモテるからって何でも思い通りになると思ったら大間違い…
僕まで流されちゃ駄目だから…
「っ!」
コウジが自分のことをそんな風に見ていた…
それがショックで言葉に詰まる。
「僕のことだって、飽きたら…他の女の子みたいに簡単に終わりにするくせに、瞬助にとっては、SEXなんてたいしたことじゃないかもしれないけど…僕は、そんな軽い気持ちじゃ出来ないし…」
コウジはさらに続ける。
「…誰が軽い気持ちだなんて言ったんだよ!マジだって言ってるだろ!」
瞬助はようやくそれだけは伝える。
付き合う時だって、本気って伝えたのに…なんで…
「信じられない…」
コウジは首を横に振り、瞬助の言葉をはねのける。
「っ、なんで!」
瞬助も必死だ…
全然信じてもらえない自分…
悔しくなってくる。
「彼女でもないのに…身体目当てで女の人のところに行く時点で、軽く考えてる証拠だよ!」
コウジは真っ直ぐ言い放つ。
「っ…」
痛いところを突かれて、すぐに言葉が出ない瞬助。
「……」
コウジは睨みつけたまま動かない。
「……確かに、昨日は身体目当てで行ったさ…けど寝てねぇ」
瞬助は言いにくい事でもコウジに信じてもらうため伝える…
「…嘘、」
「嘘じゃねぇ!コウジとやりたかったから…ずっと我慢してて、イライラしてマジ…ストレス溜まってきて、あげくお前にはヒデーこと言われて一方的に別れるって…だから俺もキレて自棄になって…」
瞬助は必死に気持ちを伝えていく…
「……」
静かに言葉を待つコウジ。
「もう、ヤってやろうと思ったさ、でも!勃たねぇんだからできねぇだろ!」
コウジの肩から手を引き…拗ねたように言葉を続ける瞬助。
「…えっ」
瞳を見返す。
「美女前にして勃たねぇなんか…俺、病気だよ…」
拳を握りしめ、全てを伝えるつもりで話す。
「けど、お前の泣き顔が…チラついて、お前の声が…耳に響いて…」
SEXどころじゃなくなった…
「俺はお前とヤりたいんだ…お前じゃなきゃ勃たねぇんだよ!」
しっかり瞳を見つめ伝える。
信じてもらいたいから…
「っ…しゅんすけ」
瞬助の言葉に動揺してしまう…
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