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第78話
「俺に抱かれたくないのは、俺のこと、好きじゃないからか?俺、強引に付き合うように仕向けて…お前の気持ち、確かめたことなかった。調子にのってたから…それに気付いて…」
「……」
「……」
少しの沈黙…
コウジの気持ちを知りたくて…言葉を繋げる瞬助。
「…俺と付き合うのが、俺とキスするのが本気で嫌だったんなら…覚悟もしてる」
納得出来るかわからないけれど、好きだという気持ちをなくそうと努力…するはず。
思うだけで抵抗する気持ちをはっきり自覚しながらも…
ケジメとして伝える。
「……」
「…本当はこんなこと言いたくねぇけど、お前から一度は言われたから覚悟してる」
別れるって…
でも、できれば想いが通じて欲しい…
「……」
瞬助の気持ちを知って…迷うように視線を下げるコウジ。
瞬助は自分勝手で…
軽いヤツだから、僕のことも…珍しいだけで、SEXしてみたかっただけで…
からかってるだけで…
そう…決めつけてた。
苦しんでるのは自分だけだと思って…余計腹が立った。
けど…瞬助も…
「お前の本当の気持ち…知りたい」
答えられずにいるコウジを静かに促す。
「…しゅんすけ、ごめん…」
コウジはぽつりと謝る。
「…っ」
それを聞き、ぎゅっと抱きしめてくる。
「…しゅんすけ?」
「くそっ、やっぱ嫌だ。諦めたくねぇ…畜生!」
首を横に振り否定する。
絶対離れたくない…
「覚悟してても、別れるのは嫌なんだ!」
「瞬…」
「俺、信じてもらえないかもしれねぇ、でも、浮気は絶対しない。お前と付き合ってたこの三ヶ月だって…いや、もっと前からお前しか見てないから…」
どうにか振り向かせようと…繋ぎ留めようと…必死になる。
「しゅん…」
そんな姿を見て…驚く。
あの自信家で自分勝手な瞬助が…
こんな自分の為に必死になっていることが嬉しくて…
「もう、ヤケ起こさないし、お前が振り向いてくれたら…俺、」
「瞬、好きだよ…」
瞬助の言葉を遮って告白するコウジ。
「えっ…」
「僕…瞬のこと、好きになってるよ」
もう、ずっと前から好きだった。
「コウジ!?」
突然の言葉に驚く瞬助。
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