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第80話《繋がりたい》
ひとり自分の部屋にいる僕。
数時間前まで険悪状態だった僕らだけど…
ついさっき、瞬助と想いが通じ合って…本当の両想いになれた。
なんだか未だに信じられなくて…思い出すだけで心臓がどきどきしてしまう。
あのあと、瞬助と少し話しをして、今日は一緒に寝ようというコトになって…取りあえず制服を着替えてご飯だから自分の部屋へ戻ってきたのだ。
やっぱり、一緒に寝るイコールそういうコトだよね…
OKな返事をしてしまって、今更ながら…不安感が押し寄せてくる。
でも瞬助の願いだから…
勝手にざわめく心を落ち着かせようと深呼吸をしてみる。
「ご飯行かなきゃね…」
そう息をついてそっと部屋を出て…
ちらっと、瞬助の部屋を見る…
まだ部屋にいる様子だ…
声をかけようかとも思ったけれど、さっきのコトが思い出されて…顔を見るのが恥ずかしくて瞬助をおいて寮の部屋をでる。
「あ、コウジ!遅かったな、夕食行こう」
いつも一緒に行動している親友のたくみ…食堂の前で待っていてくれた。
「ゴメン、待たせて…食べよ」
いつもの優しい、たくみの顔を見て少し和む。
夕食を受け取って席につこうとしたとき…
「コウジ、行くならひと声かけていけよ。冷たいよなぁ…せっかく想いが通じあったってのに!」
不意に頭の上から、ちょっと不機嫌な低音の声の持ち主が話し掛けてくる。
コウジはドキッとして振り返る。
やはり長身美形の幸田瞬助だ…
「だって、なんか気恥ずかしかったから…」
ちょっと俯いて言い返す。
「あれ…ケンカしてたんじゃなかったっけ?」
そんな様子の瞬助とコウジを見て、たくみが不思議そうに聞いてくる。
ここ数日は会話もろくにしていない二人だったから…
「んなわけねーだろ、俺たちめちゃ順調だぜ?な、コウジ!」
いつもの爽やかスマイルを浮かべ肩に触れて話してくる。
「…しゅん」
困ったように名前を呼ぶ。
「コウジ?」
たくみはコウジに真相を聞くようにもう一度言う。
「うん、そういうことになった…から、心配かけてゴメンね、たくみ…」
恥ずかしがりながらも親友には本当のコトを伝えておく…。
「そっか、まぁ俺はコウジがいいんなら…何も言わないから、ただ、幸田…」
たくみは優しく微笑んでコウジに言った後、瞬助に真面目な視線を送り呼ぶ…
「あ?」
首を傾げる瞬助。
「これ以上コウジ苦しませるようなことしたら許さないからな…」
これだけは伝える。
「それは、わかってるって、親友サマは恐いな~」
苦笑いしながら瞬助は頷く…
「ありがとう、たくみ」
コウジは色々迷惑かけて心配してくれたたくみにちゃんとお礼を言う。
「うん、じゃ夕飯食べようか!」
そう促すたくみ。
「だな」
「うん」
二人とも頷いて夕食を一緒に食べはじめる。
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