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第81話

そして食事を食べ終えてコウジと瞬助は部屋に戻ってくる。 風呂の後、瞬助の部屋にいく約束だ… 「どうせなら一緒に風呂はいんねー?」 各自の部屋に帰る前、顔を覗き込んで屈み、耳元で囁くように瞬助は誘ってくる。 「嫌だ、」 そんな確実に裸をさらす場所に一緒になんて出来ない… そんな気持ちで断るコウジ。 自分の身体に自信なんてないから… 「なんで?」 そんな内心を知らず、軽く聞いてくる。 「いいから今日は嫌…無理矢理入って来たら今日は部屋行かないから…」 ツンと言い返す。 「っ、わかったよ、じゃ風呂入ったら部屋来いよな!」 機嫌を損ねたくないのであっさり諦めて、ウインクなどをしながら自室に戻っていく… 「はぁ…」 溜息がついついもれてしまう。 瞬助はなんの不安もなくていいよね… SEXなんかしたことないし…やり方とかは知ってるけど、それが余計に不安感を煽る。 どうすれば上手くできるのか… 初めてだから全然分からない… もう、アキ兄に電話して聞きたいくらいな気分だよ… さすがに恥ずかしくてできないけど… 不安な気持ちのまま、風呂の準備をして入りにいくコウジ。 脱衣所で服を脱いで…ふと目に入る鏡に映る自分。 全然、男らしくない… コンプレックスだらけの身体。 でも…柔らかい胸もなくて… 瞬助を本当に喜ばせてあげれるのか… 恐い… 恐いけど… 瞬助の為に…心を決めないと… コウジはそう思って風呂に入ってパジャマに着替えて瞬助の部屋の戸をノックする。 「お、来た来た…」 笑顔で、戸を開けて迎え入れる。 「瞬も入っておいで…ってちょっと!」 コウジは瞬助に風呂をすすめるが… 「んーいいにおい…」 瞬助はコウジを抱きしめながら…顔を寄せ、くんくん髪の毛を匂ってくる。 「瞬!?」 「わーった、行ってくるから待ってな!」 コウジを解放しながら…笑って部屋をあとにする。 「もう…」 相変わらずスキンシップ好きな瞬助に呆れながらも…抱きしめられたお陰で少しだけ不安が解けたように感じる。 「あ、手紙…」 瞬助の勉強机の上に夕方取り合いになった男子からコウジ宛ての手紙が置いてある。 「忘れてた…読まれたかな…」 あれだけ読みたがってた瞬助だから… そっと手紙の封筒を手に取って見る。 「あれ、開いてない…」 てっきり読まれたと思っていたけど、手紙は開封されていなかった。 (読まなかったんだ…瞬) 不思議に思いながらも中身を確認するため開けてみる。

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