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第82話
やっぱりラブレター…
しかも男子にしては丁寧な内容だ。
楠木昂治様
突然の手紙申し訳ありません、俺は体育祭の時に同じ係りをした新明です。あの時から楠木君のことが気になって、頭から離れません。
良かったら友達からでいいんで俺と付き合ってください。
返事は明日の夕方5時に体育館裏で待っているので聞かせてください。
新明徹。
「やっぱり呼出しか…」
なんとなく人物も思い出す。
断るのは毎回精神を使う。
すんなり諦めてくれる奴ばかりじゃないから…
瞬助も沢山女の子に告白されてるよね、どうやって断ってるんだろう。
今回の手紙も…
瞬助の勉強机について、ふと気になりそんなことを思ってしまう。
でも、それよりも今は、これから瞬助と…そういうことをするという不安の方が勝っていて…
ホント…大丈夫かな…
やっぱり痛いのかな…
上手くできるかな…
はぁ…落ち着かない…
今更だけど、まだ高2なのに、そういう関係になっていいのだろうか…
でも瞬助は初体験中2だって言ってたよね…
やっぱり、生きてきた世界が違うんだよ…
性体験とかって…
普通はそんなに早くないし、経験ない僕の方が普通で…
たぶん…普通…
なんだか混乱してくる。
はぁ…落ち着いて…
好きな人とひとつになれるんだから…そんなに不安がることはないよね。
別に強姦されるわけでもなし…
うん、大丈夫…
不安な気持ちを無理矢理押し込めるコウジ。
しばらくして瞬助が風呂から上がってさっぱりした様子で戻ってくる。
「コウジ~ただいま!」
取り敢えず、椅子に座っているコウジに後ろから抱き付きながら話し掛ける瞬助。
「おかえり…」
まとわりつく瞬助からは石鹸の匂いが流れてくる。
こうやって後ろから抱き付いてくるのも久しぶりだな…などと思うコウジ。
「そんなトコ、一人で座ってないで、コッチいこうぜ…」
早速ベッドに誘う瞬助。
「えっ…」
「隣座って話せばいいだろ?まぁ俺はすぐにでもヤりたいけど」
にっと笑って付け足す。
「しゅん!?」
ヘタに隠したりしないとこが瞬助らしいけど…
「ま、話もしたいし。最近全然楽しい話、してないだろ?」
そう、はぐらかすように笑う。
コウジの背に触れ、自然に促す…
「別れてたし…」
椅子から立ち上がり、ベッドサイドへ…
「もう別れねぇから…コウジのコト、誰にも渡さねぇ…」
並んで座って腰を抱き寄せながら瞬助は伝える。
「瞬…」
そんな瞬助の言葉にドキっとする。
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