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第108話
「この子すごくいい子なんですよ!今付き合ってる人より絶対いい子だから…」
サポート役の女子が、再び言葉をだす。
「知らない人のことを決めつけて言うのやめてくれる?俺の恋人は最高のひとだよ、悪いけど諦めて帰ってくれるかな」
それにも、はっきり断る瞬助。
そして…
「じゃ、悪いけど、そういうことで…」
告白した子に、やや真剣な瞳を向けて断り、その場を離れる。
「…っ、」
「あ、待って…」
サポートの子が呼び止めるが、その声には答えず、コウジが待つ場所まで走って戻る瞬助。
「ただいま!断ってきたぜ~聞いてたか?」
さっそくコウジに報告して聞く。
「おかえり、よく聞こえなかったけど」
言われたとおり待っていたコウジは、そう首を傾げる。
「なにっ?せっかく手本見せたのに」
瞬助は不服そうに男前の顔をしかめる。
「なんて断ったの?」
少し気になり聞いてみる。
「付き合ってるヤツいるって、そーだ明日指輪買いにいこーぜ!お揃いの」
思いついたように瞬助は言い出す。
「えっ!」
「安物でいいからさ、はめてれば女除けになるし」
「…お揃いの指輪なんかつけて歩けないでしょ、バカ」
むちゃなことを言う瞬助に驚くが…
「つけるの嫌なら、俺がつけて、お前は首にでもかけてたらいいから、明日デートがてら行こうぜ!」
瞬助は行く気満々でコウジを誘う。
「うーん、分かった、でもたくみも誘うから」
首を傾げ、考えながら頷くコウジ…
「はぁ?なんで」
意味分からん!と抗議する瞬助。
「たくみだけのけ者にできないでしょ」
コウジは当たり前のように言い返す。
「お前な、デートったら普通2人っきりだろ!」
さらに抗議してみる瞬助だが…
「人数多い方が楽しいでしょ」
「俺はコウジが居れば他はいらねぇけど…」
「ダメ!たくみも連れて行く!じゃないと行かないから…」
そこは譲れないコウジ…ツンと言い返す。
「ったく、わかったよ…コブ付きでも我慢するか」
瞬助は仕方ないなぁ…と折れる。
「コブって…」
「部屋帰ったら2人っきりだしな」
そう笑いながら不意に手をつないでくる瞬助…
「ちょ、手離して」
慌てて手を引くコウジだが…
「いいだろ、少しくらい」
再びコウジの手を握りながら言う。
「ダメ!誰かに見られたら…校内なんだよ!?」
そう真剣に注意する。
「はぁ、わかったって…」
瞬助は手を離してため息をつき、早足で寮に戻る。
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