108 / 275

第108話

「この子すごくいい子なんですよ!今付き合ってる人より絶対いい子だから…」 サポート役の女子が、再び言葉をだす。 「知らない人のことを決めつけて言うのやめてくれる?俺の恋人は最高のひとだよ、悪いけど諦めて帰ってくれるかな」 それにも、はっきり断る瞬助。 そして… 「じゃ、悪いけど、そういうことで…」 告白した子に、やや真剣な瞳を向けて断り、その場を離れる。 「…っ、」 「あ、待って…」 サポートの子が呼び止めるが、その声には答えず、コウジが待つ場所まで走って戻る瞬助。 「ただいま!断ってきたぜ~聞いてたか?」 さっそくコウジに報告して聞く。 「おかえり、よく聞こえなかったけど」 言われたとおり待っていたコウジは、そう首を傾げる。 「なにっ?せっかく手本見せたのに」 瞬助は不服そうに男前の顔をしかめる。 「なんて断ったの?」 少し気になり聞いてみる。 「付き合ってるヤツいるって、そーだ明日指輪買いにいこーぜ!お揃いの」 思いついたように瞬助は言い出す。 「えっ!」 「安物でいいからさ、はめてれば女除けになるし」 「…お揃いの指輪なんかつけて歩けないでしょ、バカ」 むちゃなことを言う瞬助に驚くが… 「つけるの嫌なら、俺がつけて、お前は首にでもかけてたらいいから、明日デートがてら行こうぜ!」 瞬助は行く気満々でコウジを誘う。 「うーん、分かった、でもたくみも誘うから」 首を傾げ、考えながら頷くコウジ… 「はぁ?なんで」 意味分からん!と抗議する瞬助。 「たくみだけのけ者にできないでしょ」 コウジは当たり前のように言い返す。 「お前な、デートったら普通2人っきりだろ!」 さらに抗議してみる瞬助だが… 「人数多い方が楽しいでしょ」 「俺はコウジが居れば他はいらねぇけど…」 「ダメ!たくみも連れて行く!じゃないと行かないから…」 そこは譲れないコウジ…ツンと言い返す。 「ったく、わかったよ…コブ付きでも我慢するか」 瞬助は仕方ないなぁ…と折れる。 「コブって…」 「部屋帰ったら2人っきりだしな」 そう笑いながら不意に手をつないでくる瞬助… 「ちょ、手離して」 慌てて手を引くコウジだが… 「いいだろ、少しくらい」 再びコウジの手を握りながら言う。 「ダメ!誰かに見られたら…校内なんだよ!?」 そう真剣に注意する。 「はぁ、わかったって…」 瞬助は手を離してため息をつき、早足で寮に戻る。

ともだちにシェアしよう!