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第166話

「ま、気楽に見学して」 「はい」 返事を返して、会議室に入り、やや後ろの席に3人並んで座る。 サークルはそこはかとなく始まる。 「そして、今日はゲストに来てもらっています、楠木くん!」 様子を伺っていると、司会の大学生にいきなり指名されるコウジ。 「えっ」 驚いて固まっていると… 「ちょっと立って、そこにいる楠木昂治くんは楠総合病院、脳神経外科の賢医、楠木満院長先生の息子さんです、今日は見学にきてくれました」 紹介しながら促す司会者。 それを聞いて… 「おぉ、あの…楠病院の!」 「あの脳外科医の!」 現役の医師や研修医が座っているあたりからざわめきが起こる。 「よろしくお願いします、あの…」 一応、立ってお辞儀をするコウジだが…困惑する。 「いいよ、楠木くんは座って、皆さんいつも以上に研究発表頑張ってくださいね」 なんとか注目から解放されるコウジ、席について俯く。 「お前の父親ってそんなにすげーのか?」 そこへ左隣に座っていた瞬助が耳打ちしてくる。 「う、うん…国内でも数人しか出来ない技術を持ってるっていうけど…」 「へぇ…手術してるとこ見たことあんのか?」 興味をひかれ、さらに聞く… 「うん、何度か、でも父さんの手術しか見たことがないから、凄さの比べようがないっていうか…」 首を傾げながら答える。 続けて… 「でも、確かに難しい手術の時は見学者が沢山きてたよ」 「それ結構すげーだろ」 瞬助も感心する。

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