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第167話

「うん、でも凄いのは父さんで僕じゃないから、僕まで凄いように言われるのはプレッシャーだよ」 自分が便乗して紹介されることが嫌なコウジ… ため息をついてしまう。 「て言うか、この辺の楠総合病院系列束ねてる院長の息子ならそれだけですげーだろ」 「瞬もそういう目で見るんだ…」 楠病院の跡取り息子という肩書きのせいで、先生や大人たちから腫れ物扱いされていたコウジ… 瞬助の言葉に少し悲しくなるが… 「そういう目ってなんだよ、純粋にすげーなって思うだろ?」 「……」 「それに、これから親父よりすげー医者になればいいだけだろ!」 「無理だよ…父さん本当に凄いもん…」 「大丈夫だって、俺がついてるだろ!」 ニッと笑って自信満々にいう。 「どこから来るのその自信?ったく瞬は…」 相変わらずな瞬助に呆れてしまうが… 「2人とも発表始まるよ」 会話が止まらない瞬助とコウジにそっと声をかけるたくみ。 「はーい」 「うん、ごめん」 コウジも素直に謝って、2人も発表を聞くため静かにする。 2例の研究発表を聞き終え… 最初のセッションが終わり休憩時間…。 すぐさま女子に囲まれる僕ら三人。 まぁ主に目当ては瞬なんだけど… 色々女子に質問されて、にこやかに返答している瞬助を横目にみながら… たくみと会話していると… 「楠木、ちょっといい?」 後ろから広井が呼んでいた。

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