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第172話

「公の場なんだから、少しはコウジのこと信じろ、つか、お前だっていつもコウジに同じ思いさせてんだから自覚しろよな」 イライラしている瞬助をなだめながら話す。 「……俺は」 「そんなにお前は自分に自信がない奴だったのかよ」 不意にそう挑発するたくみ。 「な、んなわけねぇだろ!…けど、コウジは…別なんだよ」 「何が?」 「なんつーか、色々あって落ち着かなくなるんだよ」 「色々って?」 「う…まずコウジが見知らぬ男と話してるだけて嫌だ」 むすっとしながら答える。 「いや…そこは我慢しろよ、コウジだって人間なんだから話しくらいするだろ、この先コウジを誰とも話さないようにすることなんか無理だし、それは束縛しすぎだろ?」 たくみは冷静にさとす。 「む…でもな、ああやってコウジが愛想振りまくからアイツのこと好きになる奴が出てくるかもしんねーだろ」 瞬助は、また言い返す。 「だから?」 「だからって…許せねぇだろ!」 「そうかな?好きになるのは仕方ないだろ…コウジ可愛いし、お前だって好きになったんだから…」 「それは…!」 「いくら幸田が割り込もうが邪魔しようが好きになる時は好きになるんだし…そんなこと全て阻止なんてできないし…けど、コウジがブレなきゃ関係ないだろ」 瞬助の瞳を見て問いかける。 「む…、そりゃそうだけど…」 「アイツは一途なやつだから大丈夫、真面目だし浮気なんか絶対しないヤツだよ、だからもう少しコウジのこと信じろよ」 「んだよ、知ったふうに言いやがって…」 たくみと話したことで少し冷静に戻れた瞬助… 不貞腐れたように言い返す。

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