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第173話
「そりゃ、俺はコウジのこと小学生の頃から知ってるからな…」
ふふん、とやや優位にたてて笑って言うたくみ。
「チッ…」
「今までコウジは、言い寄られても取りつく島もないくらいハッキリ断ってきてたんだ…」
「そんなかでお前がトクベツになれた、どういうことか分かるだろ…」
「……」
「お前って案外自信ないんだな…お前くらいになればほっといても戻ってくるくらい言いそうなのにな…」
「…あるかよ、…俺は一回アイツにフられてんだ…」
「余裕なんか…ねぇ」
瞬助は、目をそらしながらポツリと言う…
「ふっ…」
珍しく自信なさげな瞬助を見て吹き出して笑ってしまう。
「な、なんだよ」
「いや、お前も普通なんだな、ちょっと安心した」
「はぁ?」
顔をしかめる瞬助だが…
「なら、コウジに見栄ばっか張らずに普通にいけばいいのにな」
たくみはにこやかにさとす。
「ば、コウジに、んな情けねーこと言えるか!余裕ねぇとかコウジに絶対言うなよ!!」
「はいはい!」
「あの、お話終わりました?」
すると再び女子たちが近づいてきて聞いてくる。
「あー、もう俺らも帰るから…悪りぃけど…」
瞬助は女子たちにそう言って切り離そうとするが…
「え、じゃ電話番号とか交換していただけませんか?」
「いや、そういうのも悪いけど…、俺、大事な人いるから、その人以外好きになる予定ないんで、そのつもりでよろしく!」
あっさり断りながら…
「じゃ!みんなお開きで!バイバイ!」
ざわめく女子たちを切り離して…
瞬助はたくみとともにいったん席に戻る。
そして、気分は良くないが、話しかけられているコウジの様子をおとなしく見守る瞬助…
「……!」
不意にコウジもこちらを振り返り…瞬助と視線が合う…
(…帰るぞ!)
手で合図して、コウジを離れた場所から呼ぶ。
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