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第174話

「……、あ、すみません。仲間が待ってるんで僕そろそろ帰ります」 コウジは話を終わらせるため、そうきりだす。 「そうか…またきてくれよな」 「はい、ありがとうございました」 お礼を言い、小走りで戻ってくるコウジ。 「ごめん、待たせて…」 「いや、いいよ。今終わったとこだし…幸田のホンネ聞けたしね」 たくみはにこやかに言う。 「な、工藤てめぇ!」 「えっ?ホンネってなにが?」 当然気になって瞬助に問うが… 「なんでもねぇよ、帰るぜ!」 瞬助ははぐらかしながら席を立ち歩き出す。 「あ、ちょっと待って…たくみ?」 「うん、なんでもないんだってさ、帰ろうか」 たくみも、にこにこしてはぐらかす。 「え?あ、待って…ねぇ何のこと?」 さらに聞くコウジに… 「お前こそ医者たちとなに話してたんだよ」 別の質問で切り返す瞬助。 「え、話は、だいたい病院とか、父さんのコトだよ」 ちゃんと答えるが… 「そっか、あんま仲良くなりすぎるなよ」 「え?うん…ていうかそれを言うなら瞬助だって女の子と仲良くなりすぎてないよね?」 「なるかよ、話してるだけだって」 微笑み答える。 「ホントに?」 軽くかわす瞬助が信じられなくて聞き返してしまう… 「ホントだよ、さっき電話番号交換も断ってたし」 そこへ、たくみが助け舟をだす。 「え、あ、そうなんだ…」 たくみの言葉を聞いて安心するコウジ。 「お前こそ、なんだよその名刺の数!」 コウジの手にはたくさんの名刺…。 「これは、くれるものをつき返せないでしょ…社交辞令だよ」 「なら、俺のもたんなる社交辞令だから気にすんな!」 男前の顔を爽やかな笑顔に変えながら言い切る瞬助。 「むー…」 不納得ながらも2人について、寮に帰り始めるコウジだった。 《サークル参加》終。 《またまた寝言》に続く。

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