191 / 275
第191話《ヤキモチ》
よく晴れた日、土曜日の朝。
学校は休みなので、コウジは、朝食を瞬助と食べて自室へ。
少し一人でのんびりしようかと思っていたけれど…
やはり瞬助は部屋についてきて…
「今日も見に来るんだろ!練習!」
土曜日の部活午前練習を見学に来させようと言葉を投げる。
先週は競技会の選考があるからということで、前半だけ見学に行ったけど…
「…でも、普通の練習なんでしょ?」
「そうだけど、暇なんだから見に来いよ!」
「今日は朝ゆっくりしたいから…」
「なら後半だけでもいいから、な!」
どうしても見に来させたい瞬助…キラキラした笑顔で誘ってくる。
「……仕方ないな、じゃ終わり頃少し見に行くから…」
「うっし!待ってるからな!」
瞬助は嬉しそうに笑う。
「あ、絶対話しかけないでよ」
コウジはそう釘をさすが…
「わーってる!じゃ行ってきまーす!」
「…いってらっしゃい」
その様子を見送るコウジ。
しばらく勉強したあと、コウジは言われた通り、第2グラウンドに瞬助の様子を見に行ってみる。
陸上部のハードルスペースを覗くと道具を片付けている瞬助が見える…
少し練習には間に合わなかった様子…
後で何か言われるかも…
そう思いながらフェンスのそばに寄る。
土曜日は解放されているだけあって、ギャラリーがたくさんいるが…
瞬助目当ての女子が今日も多い…
付き合っている人がいると公言したにも関わらず、女子からの人気は減るどころか…逆に自分も彼女になれる可能性ありと思ったのか、ファンは増えている気がする。
瞬助は気にしていたのか、すぐコウジが来たことに気づいて視線が合う…
そしてやや不機嫌な顔を見せる。
練習中から居たってごまかしはきかないようで…
やれやれと溜め息をついてしまうコウジ。
そうこうしていると陸上部が集まり、ミーティングしたのち解散となった。
普段はここで先に帰るのだが…
今日は遅れたことを謝ろうと思って瞬助が出てくるのを待つことにするコウジ。
ともだちにシェアしよう!