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第192話

しばらくして陸上部の仲間と瞬助が出てくる。 近づこうとするが… まわりの女子たちが一斉に瞬助の周りに群がっている… 「……」 瞬助も気さくに握手をしたり、写真を一緒に撮ったり…笑顔で女子たちに対応している… そんな様子を見せつけられて… コウジは胸の内がもやもやして… 見ていられなくなり、その場から立ち去ってしまう。 瞬助が人気なのは分かっているけれど… 目の前で見せつけられるのは…やっぱり嫌な気分になる… 愛想良く楽しそうに話す瞬助にも腹が立つし… 先に寮の自室に戻って、瞬助を待ちながら、とりとめのない考えが頭をめぐる… けど、それを言ってもケンカになるだけだし… しばらくして… 「ただいまー」 玄関から瞬助の声。 「……」 帰宅後、必ずコウジの部屋へ顔を覗かせる瞬助… 気が重いながらも迎えに出る。 「コウジ~」 ノックしながら呼ぶ瞬助を戸を開き出迎える。 「おかえり…」 ややテンション低めに迎えるコウジへ… 「ただいまー、つか来るの遅すぎだし…」 とりあえず小柄で可愛いコウジを抱きしめながら… 不満そうにいう。

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