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第10話 告白④

「会えるよ。二時間ちょっとだろ、東京なんて。それに、県内にいたって大学が違えば頻繁に会わないだろうし、東京でもどこでもそんなに変わらないよ。」 「わかってるよ。でも、もうダメだ。もう言っちゃったから。」 「なんでダメなんだよ。」 「だって……。俺にこんなこと言われたら、おまえ、もう、俺に会うの嫌だろ。気持ち悪いだろ。いいんだ、わかってる。そういうのも全部わかって、それでも、言いたかったんだ。卒業したらもう、クラス会だろうがOB会だろうが、俺らが顔を会わせそうな場には参加しないから、安心して。」 「なんだよ、それ。」和樹は田崎の顔を覆ったままの両手をつかんで、顔をさらした。その目は、やっぱり、涙で潤んでいた。「わかってるわかってるって言うけど、俺、何も言ってないじゃないかよ。」 「見るなよ。」田崎は手をふりほどこうとしたが、和樹が力を込めたので、それはかなわなかった。 「俺にどうしてほしいんだ?」自分でも予想しない言葉が口をついて出てきた。でも、言ってしまえば、それが一番聞きたいことではあった。 「手を離して、こっちを見ないでほしい。」田崎はそっぽを向いて言った。 「それはできない。手を離したら、おまえ、泣くもん。」 「どうしてほしいって何だよ。キスでもしてくれるの? 好きってのは、そういう意味だよ。でも、おまえにそんなこと、できないだろ。」そう言うと、田崎の口がキッと固く結ばれたのがわかった。

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