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第12話 告白⑥

 俺が告白した女の子と気まずかったのはほんの数日のこと。振られはしたけど、その後もふつうの友達として、ふつうに卒業まで過ごした。今でも会おうと思えば屈託なく会えると思う。でも、それは、俺が「ふつう」だったからか。俺が男で相手が女だったからか。田崎とはそういう関係にはなれないのか。  わずかに顔を傾けて、田崎は和樹から視線をそらした。長い前髪が揺れた。そんな風に表情を隠すようになったのは、もしかして俺のせいなのか、と和樹は思った。俺を追う視線に気づかせないためか。ただ好きな人を目で追って、笑顔のひとつも見られればそれで幸せで。たったそれだけの感情すら押し隠さなくちゃならない恋って、なんなんだ。  田崎が視線をそらしたのとは逆に、和樹は田崎の顔をまっすぐに見た。思いのほか、整った顔立ちだった。ずっと近くにいたのに、田崎の顔をきちんと正面から見たことはなかった。前髪越しにもうっすらと見える目は切れ長だが、決して小さくはなく、流し目が似合いそうだ。鼻筋も通っている。唇は薄くて、ひげそりの必要がなさそうなきめ細やかな肌をしていた。    和樹も容貌は整っているほうだが、どちらかというと、浅黒くて彫りの深い、人によっては「暑苦しい」と評されるタイプだったので、こういう涼し気な顔には憧れを感じた。そのクールな顔の男が、自分が好きだと言い、辛そうに弱っている。その様子を少しだけ「可愛い」と思い、そう思う自分に戸惑う和樹だった。

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