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第13話 告白⑦

 和樹はそっぽを向いている田崎の肩を引きよせて、頬にキスをした。驚いて和樹を見た隙に、唇にもキスした。唇が触れあうだけの、キスとも言えないキスだけれど。それでも、田崎のうろたえぶりは半端なく、「何してんの? 馬鹿じゃねえの?」と早口でまくしたて、顔がみるみる真っ赤になった。 「おまえがしてほしいって言ったんだ。」田崎の目がびっくりして見開いたままなのは、前髪越しにもわかった。「俺だっておまえのことは好きだよ。でも、ごめん、友達としての好きで、そういう風にしか見ることはできない。でも、もう会わないなんて言ってほしくない。だからキスした。それぐらいしか俺にしてやれること、ないから。」言っていることがムチャクチャだ。自分でもそう思う。  その次に田崎の口から出てきたセリフは「もういいよ。」だった。呟くように。そう言われても、そうですかとひっこむわけにもいかず、和樹は言葉を探し、「どうしたら、友達でいられる?」と言った。 「俺のほうが知りたいよ。」田崎は苦笑いしていた。その表情を見て、和樹は自分の選んだ言葉の鈍感さと罪深さを思い知った。どうしてやればいいのだろう。俺の目の前にいる、辛そうにしている「友達」を、俺は傷つけることしかできないのか。 「なあ、嫌だったか?」 「何が。」 「その……さっきの。」  せっかく色白に戻っていた田崎の肌の色が、またピンクに染まる。「そんなこと聞くなよ。つうか、わけわかんなかったし。知るかよ。馬鹿か。」田崎は焦るか照れるかすると、口が悪くなるらしい。 「もう一度、していい?」  田崎が和樹を見た。「え?」 「もう一度、キスしていい? さっきのがわけわかんなかったんだったら、ちゃんとするから。もっとちゃんとしたやつ。」 「自分の言ってる意味、わかってるの?」

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