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第47話 Re:告白①

 しばらく静寂が続いた。やがて涼矢はベッドから立ち上がり、服を着直した。和樹は黙って見ていた。 「和樹。今日はありがとな。」涼矢はそう言って、本棚から例のイラストを納めたファイルを出した。「良かったら、これ、持って行って。要らなかったら、捨てていいから。」和樹が受け取る。「それから、そろそろ服着て。」  和樹は大人しく服を着た。新しい黒シャツがもう皺だらけだ。しかし、そんなことはどうでもよかった。「もう気は済んだのか?」 「ああ。」 「明日は。」 「もう、いい。悪いな、おごられっぱなしで。」 「そんなのはどうだっていい。」和樹は強い口調で言った。 「なんで怒る?」 「怒ってねえよ。」和樹は手にしているファイルに目を落とした。「これ、大事なものなんじゃないの。」 「元データは持ってるから。」 「そっか。」和樹は床にへたりこむように座った。「これで、終わり?」 「ああ。卒業式終わったら、もう、会わない。」 「俺のこと、好きなのに?」 「うん。」 「俺のほうも、涼矢のこと、好きでも?」 「そう思っているとしたら、一時的な気の迷いだよ。」 「なんでそう言い切れる?」 「しつこいな。さっき自分でもよくわからないって言ってただろ。……そのうち、わかるよ。和樹は、東京に行って、小さくて柔らかい、可愛い女の子と出会うんだ。そしたら、わかる。それで、和樹は俺のこと忘れる。忘れなかったとしても、恥ずかしい思い出として封印する。」 「俺の気持ちを勝手に決めるんじゃねえよ。おまえも忘れるのかよ。」 「忘れないよ。俺は忘れない。俺、和樹のこと、好きになって良かった。今まで生きてきて、一番楽しい日だった。忘れっこない。でも、俺の中にだけあればいい。」 「じゃあ、これは。」和樹はファイルを激しくはたいた。「俺に持ってて欲しいんだろ。おまえのこと、俺に忘れてほしくないんじゃないの。」 「それは……。」 「涼矢のほうが忘れたがってるんだろ。」和樹は立ち上がり、涼矢を抱きしめた。「俺はいやだよ。忘れるのも、忘れられるのも。」涼矢の両頬を手で包むようにして、見つめた。「卒業しても会ってよ。東京に行っても、できるだけ会いに来る。おまえが来てくれてもいい。毎日電話する。デートもおまえ任せにしないし、無理やりエッチとかしない。大事にする。優しくする。だから、俺とつきあって。」

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