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第60話 卒業式⑤

「ああ、疲れた。」和樹は、卒業証書やら卒業記念品の入った紙袋やらをその辺に放り投げると、上着も脱がずに涼矢のベッドに勝手に横たわって伸びをした。 「おい、人のベッドに。」涼矢は上着をハンガーにかけ、和樹の放置した品々を部屋の隅にきちんと並べ直した。 「涼矢ぁ。」和樹は体をずらして、ベッドの半分を空け、そのスペースをポンポンと手で叩いて示した。 「なんだよ。」 「ほら、ここ。来てよ。」涼矢がまた赤面する。「あ、でもちょっとタイム。」和樹は飛び起きると上着を脱ぎ、ネクタイを外し、また近くに放った。 「だから、そこらにポイポイ放り投げるなって。」それを拾い集める涼矢。 「いいから、そんなの。もう着ないし。あ、でもネクタイは大事なやつだったけな。涼矢と交換したんだもんな。」和樹が涼矢を背後からいきなり抱き締めたので、涼矢はせっかく拾った上着とネクタイを再び床に落とした。和樹は涼矢のうなじに口づけた。涼矢の体がピクリと動いた。 「ちょ、ちょっと。」 「何。」 「まだ、心の準備が。」 「体の準備はできてる?」和樹が後ろから手を回し、涼矢の股間を探る。 「うわ、ちょっと、待って。」涼矢がもがいて、和樹の腕を外し、和樹と向き合った。「なんでおまえ、いつもいきなりなんだよ。」と声を荒げた。 「いきなりかなあ。家に呼ぶって、そういうことでしょ?」 「ち、違うだろ。おまえどんだけケダモノなの? か、川島さん相手でもそうだったわけ?」 「やだなあ、なんでこういう場面で元カノの話とか出すのかな。ルール違反だよ、そういうの。」そう言いながら、涼矢のネクタイを抜き去り、ボタンを外していく。「それとも、聞きたい? 綾乃と俺がどういうことしてたか。」涼矢は怒った顔こそしているが、和樹の手を止めることはしなかった。「彼女はね、ああ見えて結構積極的でね。そう言えば、俺、綾乃の服を脱がせたことないかも。自分でさっさと脱いでたからね。脱ぐと、結構胸がでかくて。」和樹は涼矢のシャツを完全に脱がせると、裸の上半身に手を滑らせた。「ここが感じるって。」涼矢の乳首をつまんだ。 「やめろよ。」涼矢は少し身を引いた。 「どっちを? 綾乃の話? それとも。」和樹は涼矢の耳たぶから首筋にかけて舌を這わせながら、同時に片手で涼矢の下半身を刺激した。

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