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第61話 ふたり①
「や、やめ……。」涼矢の体が震えた。和樹は涼矢のベルトを外しにかかった。
「約束したから、強要はしないけど。やめてほしい?」涼矢が返事をしないことをいいことに、和樹はどんどん「作業」を進めて行く。涼矢がついに下着一枚にまでなると、和樹はその前にひざまずいて、下着をずらし、涼矢のそれを口に含んだ。
「和樹。」涼矢はかすれた声で名前を呼んだ。先日と同様、和樹をひきはがしにかかる。「いいから、そんなこと、しないで。」
「好きでやってる。」そう言って、またくわえる。和樹にとって、フェラチオは「されるもの」であり、「する側」になったのは涼矢が初めてだが、どこをどうすればいいのかは経験上わかる。
女にされていた時には、よくこんなものを舐める気になるなあって思ってたけど、好きな相手なら平気、っていうか、気持ち良くさせてあげたい一心で、どうにも愛おしくなるものなんだな。などと不埒なことを考えながら、涼矢を見上げる。涼矢は苦しそうな顔で喘いでいた。ああ、こっち側ってこんな風に見えるんだ。
涼矢は和樹と目が合うと、より一層苦しそうに眉を寄せた。喘ぐ声が少し高くなってもいる。もう限界だろうな。和樹は口を離した。それすらも刺激となって、涼矢の膝が一瞬ガクリと砕けそうになる。和樹は立ち上がり、涼矢の腰に手を回し、ベッドに寝るように促した。それから自分の服を脱いで、横たわる涼矢に覆いかぶさり、キスを繰り返した。
「和樹。」涼矢は和樹の背中に腕を回し、ぎゅっと抱いた。和樹は自分とほぼ対等の体格の人間に「抱きしめられる」という感覚が新鮮だった。「俺でいいの? 本当に後悔しない?」消え入りそうな声で涼矢が言った。
「しないよ。」和樹がまた口づける。それから、首と、鎖骨にも。乳首を舐めると、涼矢の口から吐息が漏れた。「気持ちいい? ここ。」
「言うなよ、そういうこと。」息を弾ませて涼矢が言う。和樹は、涼矢の身体に丁寧に触れて行った。時に指先で、時に舌で。涼矢は時折むせび泣くような喘ぎ声をあげた。
「涼矢、可愛い。」
「可愛いわけあるか。俺、おまえより背高い。」
「同じぐらいだろ。」
「いや、俺のほうが高い。」
「……どうでもいいよ。」和樹は突然、涼矢を半回転させ、背中側を自分に向けさせた。
「な、何する。」
「痛かったら言って。」
「何が。」元の位置に戻ろうとする涼矢を和樹は手で押さえて、止める。和樹は何も答えずに、涼矢の敏感な穴に触れ、涼矢がビクッと反応した。「ちょ、ちょっ、ちょっと待って。待って。」
「待てない。」指先だけ軽く挿れる。
「き、強要はしない約束だろ。」
「無理。」指を少し進めると、涼矢は顔を歪めた。「ごめん、痛かった?」和樹はいったん手を止め、部屋の中を見渡した。「あ、あれでいいや。」そう言うが早いか、机の上にあったベビーオイルを取ってきた。
その隙に涼矢はベッドの隅に身を寄せ、縮こまった姿勢になってしまった。「こら、何してんの。」和樹は涼矢の両脚を開かせようと手をかけたが、涼矢はそれを拒んだ。
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