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しあわせのかたちを手に入れるまで

 小林が竜馬に贈った指輪のサイズを直すことと、同じ指輪を注文するためにふたりで宝飾店に足を運んだ。  同性が同じ指輪をすることに多少なりとも店員に嫌悪感を示されると思いきや、そこはサービス業らしく、嫌な顔ひとつせずに接客してもらえた。そのお蔭でふたりで時折顔を見合わせたりと、和やかに過ごすことができた。  竜馬に贈った指輪の直しは、保証期間内ということで無料でやってもらえることになった。その後、小林に贈るための指輪を購入すべく店員に金額を聞いて、竜馬は心底驚いてしまったのである。 「何が『そんなに高いものじゃないから気にしないでくれ』ですかっ。気にしちゃう金額でしょ!」 「わっ悪かったって。ああでも言わないと、貰ってくれないと思ってだな」  突然はじまった口論に店員が弱ったなぁという表情で、チラチラとふたりを見やる。 「小林さんが不愛想な顔して、強引に指輪を渡したりするからですよ。絶好のロケーションの中で、あんな風に色気のない渡し方をしてきてさ」 「しょうがねぇだろ。オーダーメイドってヤツは手間暇かかる分、高くなっちまうんだから。それくらいの価値が、お前にあるってことだよ」  不愛想を指摘したからか満面の笑みで気持ちを告げた小林に、竜馬はなす術がなかった。いつものように黙り込むしかない。 「……すみません。分割払いってできますか?」  いろんな事情で頬を染めながら店員にお願いし、オーダーは無事に完了したのだった。

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