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第2話

僕は昔から目覚ましがなくても起きれるタイプで、今日も暖かい光に誘われて自然と目を覚ました。 なんとか重い身体を動かして、彼の待つ階下へと降りる。 「おはよう、良にぃ」 そこには、夜を感じさせない爽やかな笑顔の彼がいた。 「……おはよ」 彼のように切り替えきれない僕は、いつものように目を逸らしながら挨拶を返す。 「じゃあ、行ってくるから」 そんな挨拶にさえ満足そうな笑顔を返して、そのためだけに家に居たんだというように、彼はすぐさま学校へと向かった。 僕らが通っているのは『緋桜学園』。 吸血鬼の存在が一般的に知られるようになった今となっては決して珍しくはないが、そこは人間と吸血鬼が(棟は分かれているものの)共に通う学校だ。 ……正確には、理事長である僕らの父が、僕が生まれたのをきっかけに人間の入学者も受け入れるようになったのだけれど。 ともかく、彼は2年生にも関わらず生徒会長なんていう大層な役目を務めていた。今は仕事が立て込む時期らしく、最近はこうして僕が起きると同時に学校へと向かっている。 人望も力もあり、昨日の行為からも分かるように彼は紛れもなく『吸血鬼』だ。対して僕は『餌』と呼ばれる体質を持っており、人間に混じって日々を過ごしている。 『餌』という立場に文句がないかと言えば嘘になるが、生まれ持った性質を恨んでも仕方がないし、それでも彼からこうして離れられる時間を作ってくれた父には感謝していた。 できればユウとの二人暮らしは止めてほしかった、という少しの不満は残っているけれど。でも、それがユウの示した学校へ通う条件だったのだから仕方がない。 彼の作ってくれた朝ごはんを食べ、ゆっくりと準備をしてから学校へと向かった。

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