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第4話
数時間後、珍しく満面の笑みを浮かべて、副会長が戻ってきた。
そして、入ってくるなりそうそう言い放つ。
「太陽には手を出さないでくださいね!特に会計!」
「え~どうしたの、ふくかいちょ~?」
「「奏がそんなこと言うなんて珍しいねー。僕らもますます気になるなぁー。」」
「俺……も…。」
「太陽は、私に偽の笑顔なんてやめろよと指摘してくれたのです!」
「「えー、すっごぉい。そんなにすぐに気付いたのー?」」
「フム、俺も興味が出てきたな。よし、今日の昼休みは食堂に行くか。」
「「賛成ー!!」」
「分かっ…た…。」
本当は行きたくない。だが、こいつらの手前、率先して行きたがらなければならない。
「俺も俺も~。ふくかいちょ~のお気に入りなんて超気になる~。」
「ちょっ、やめてください!太陽には指一本触れないでくださいよ!」
副会長が騒ぐが、役員たちはどこ吹く風。
その後、めいめいの仕事に戻り始めた。
俺は席を立つと、扉へ向かう。
「おい会計、どこへ行く気だ。」
「かいちょ~には関係ないでしょ~。」
「大有りだ。期日までに提出が終わらなかったらどうしてくれる。」
「俺の仕事は~、もう終わったから~。」
会長は自分の席を立ち、俺のデスクの上にある書類を確認する。
「チッ、本当に差し迫ったやつだけ終わらせてやがる。もういい、どこへでも行け。」
「はいは~い。」
俺は手をヒラヒラ振りながら、生徒会室を出た。
別に俺は、サボろうとした訳ではない。
生徒会室を出てから、自分の2年A組の教室へ向かう。
今はちょうど、一時間目の終わる数分前だ。
歩いているうちにチャイムが鳴り響き、チラホラと生徒の姿が廊下に現れ始める。
このまま注目されるのは面倒だ。
俺は先ほどよりも少し早足に教室へ向かった。
俺の席は、教室の一番後ろの廊下側だ。
生徒会の仕事へすぐに行けるようにとの配慮である。
着いてそうそう自分の席につき、顔を伏せて寝る体勢を取る。
そうすれば、誰も話しかけないからだ。
授業は真面目に受け、休み時間になる度にこの体勢を取り続けた。
きっとクラスメイトは、俺は教室に寝に来たんだとでも思っているんだろう。
そして数時間が経ち、昼休みの時間となった。
普段は一度寮に戻って昼食を取るが、今日は生徒会室が食堂へ行くのに俺だけ居ないのはまずい。
大急ぎで生徒会室へ行き、なに食わぬ顔をして入って行く。
「やっほ~、みんな食堂行こ~?」
「「バ会計に言われる前から行く気マンマンだよー!」」
「そうだな、そろそろ行くか。」
「ああ早く、太陽に会いたいです!」
「楽……し…み。」
一同が席を立ち、廊下に出る。
そのあとを、俺はへらへら笑いながらついていった。
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