それから色んな話をした と言っても司が今の自分の状況を一方的に話してるだけだが それでも飛鳥には興味深い話だった 司は父に引き取られ 父は仕事のためいつも祖父母に預かって貰っていたのだと言う 祖父母も優しくいつも飛鳥のことも心配していたのだと言う 父と祖父母の元何不自由なく暮らしていた司 音楽が好きで高校生でモデルから入って歌手デビュー 絵に描いたような人生 でもそれでも司の心にはぽっかりと穴が開いていた いつも仲が良くケンカすらしたことがない４つ下の弟の存在 父も何も知らないから苦労した それで探偵を使って探した結果飛鳥の居場所が分かった ｢わざわざ探してくれたんだ 嬉しい……ありがとう｣ ｢俺が一方的に会いたかっただけだって 良かった飛鳥が受け入れてくれて 嫌な顔されたらどうすっかと思った｣ ｢そんなこと……｣ 優しい兄 彼と一緒に過ごしていたらどれ程楽しかっただろうか まぁ今更思ってもどうしようもないが…… ｢そうだ、母さんは？ 会いたいんだけど｣ ｢…………｣ 一番聞かれたくないことだ どう答えればいいのか分からず言葉に詰まった