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第42話
「この絶倫野郎」
広瀬の言葉で反省したようにしょんぼりとソファーに座っている。
みーくんとの激しいセックスは昼過ぎまで行われた。
自分でも野獣だと思う。だって……気付いたらみーくんがグッタリと気を失っていたのだから。
驚いてつい、広瀬を呼んでしまったのだ。
みーくんの身体を綺麗に洗ってベッドに寝たせた後に広瀬から説教を食らっている平蔵。
「いくら休みだからって何時間もやるか?本当、お前って体力バカの絶倫野郎だよな……みーくんも大変だな」
「ううっ」
何も言い返せない。
確かにやりまくった……でも、お尻はそんなに使わなかった。みーくんにフェラしてもらったり、素股やったり……気付いたら疲れ果てたみーくんが腕の中でグッタリとしていたというわけだ。
「飯も食わないで……つーか、みーくんにはちゃんと食べさせろよ」
広瀬は平蔵の前に買ってきた弁当を置く。
「こっちはみーくんの分。起きたら食べさせろよ」
もう一食分をテーブルに置く。
「すまん」
「お前らしいというか……本当」
「もう言うな反省しているから」
しょんぼりとした平蔵に広瀬はつい、笑う。
「笑うなよ」
「……いや、お前もこんなに夢中になる事あるんだなあって」
「そりゃあ、あるよ」
平蔵は弁当を開け食べ始める。
「お前、特定の恋人作らなかったから心配してた」
「なんじゃそりゃ?……俺よりお前だよ、お前こそ特定の恋人作らないだろ?」
「……俺?俺は仕事柄……」
広瀬はドキッとした。特定の恋人を作らない理由を平蔵は知らないし、気付かれたくはない。
「刑事でも結婚してる人いるだろ?」
「でも、離婚も多い」
「……それは何とも言えないな……広瀬、お茶」
「お前、俺は客だぞ?」
広瀬はそう言いながらもお茶を入れる。
「恋人作らないのか?好きな人とか」
キッチンに立つ広瀬に質問する平蔵。それはキツい質問だと本人は気付いていない。
「……いるよ好きな人」
広瀬は言葉を溜めて言葉にした。
「えっ!!マジで?誰?職場の人?」
平蔵は弁当を食べていた箸を止めた。
「……でも、振られた」
「えっ……あっ、えっと……」
明るく聞いてしまった平蔵は広瀬の次の言葉でどう返して良いか困っている。
「しばらく引きずるだろうな」
広瀬は平蔵にお茶を渡す。
「……そんなに好きなのか?」
「うん……ずっと好きだったんだ」
「ずっと?」
「うん、片思いが長かったかな?」
「マジか……相手は?」
「平蔵の知らない人だよ……でも、そろそろ諦めなきゃって思ってて」
「そっか……」
平蔵はまるで自分の事みたいに元気がなくなる。その姿をみて広瀬は可愛く見える。
「俺は大丈夫だよ?何で平蔵がそんな元気ないんだよ?」
「あっ、だって……広瀬のその手の話聞いた事無かったし」
「あー、確かに俺、言わないもんな」
広瀬は笑って「じゃあ、仕事に戻る」と平蔵に手を振る。
◆◆◆
「諦めるか……」
広瀬は車に乗り込みため息をつく。
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