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第43話
好きになった時から諦める選択肢しか無かった気がする。あんなに近くにいて好きにならないわけがない。
年の差があるみーくんがあんな一瞬で恋に落ちてしまうくらいに平蔵は魅力的なのだから。
好きだけど、どうこうなりたいとかじゃない。本当に側に居れれば。
「どんだけ乙女だよ俺……」
「は?女子力高いんですか?先輩」
後輩の言葉で我に返る。
「何でもない」
広瀬は笑って誤魔化す。
「例の件どうなってる?」
例の件とはみーくんの叔父の話。みーくんをまだ諦めていないはずだからだ。
「静か……ですよ?怖いくらいに」
「そうか……」
「行方不明の孫もまだ見つかっていないみたいだし……」
「うん……」
まあ、みーくんは平蔵の部屋だ。そこで今はぐったりとしている。みーくんを助けるにはどうしたらいいんだろう?
あの子は本当に素直で可愛い。綺麗だし……若いし。
「ちくしょう」
「えっ?何にちくしょうなんですか?」
またしても言葉に出てしまい「何でもない」と笑って誤魔化した。
◆◆◆
良い匂いがしてみーくんは目を覚ます。ベッドに1人っきりで平蔵の姿がない。
良い匂いがするから料理しているのだろうとみーくんは起き上がりベッドから降りようと足を床につけ、立ちがる……が、足がガクガクして立てない。
ペタンとその場に座り込むはめになる。
あれ?歩けない……と焦る。
平蔵の近くに行きたいのに行けない。みーくんは声を出せないから呼ぶ事も出来ない。
どうしよう?
ちょっと悩んだ結果、ハイハイして行こうかな?と決断。
「みーくん!!!」
頭の上から驚くような平蔵の声が降り注いできた。
顔を上げると焦ったような平蔵の顔。その顔がまた可愛らしくてみーくんは微笑んで彼を見た。
「もしかしなくても立てない?」
みーくんは頷く。
「ごめん……みーくん」
大きな図体でしょんぼりとした平蔵に両手を伸ばすみーくん。
平蔵はしゃがむとみーくんを抱き上げる。
「無理させてごめんね」
みーくんは首を振る。
「お腹空いてるだろ?ご飯作ったから」
平蔵はみーくんをベッドに座らせると彼に着せる為の服を探す。
ああ、みーくんの服……もっと買わなきゃな。
パジャマの変えとか普段着とか、あとは食器とか?
そんな事を自然に考えてしまっている。もう、みーくん無しの生活が考えられなくなっている事に平蔵は気付いていないのだ。
みーくんに自分のシャツの上だけ着せた。
あ、下着も買わなきゃ!!これ!1番大事!ノーパンでいさせるわけにはいかない。
今みたいな格好……いいけれど、ムラムラしっぱなしだし、広瀬の絶倫野郎という言葉を思い出して、みーくんをやり殺してしまう恐れがあるのでまっさきに下着を買おうと思った。
みーくんをお姫様抱っこして連れて行く。
ソファーに座らせて「ここで待ってて」と頭を撫でて作った料理をよそう為にキッチンへ。
いっぱい体力を消耗させてしまったので作った料理はカツ丼。
少しでも体力が戻るように……と作ったのだが、戻させて何やる気だよ、俺!!とハッとエロい事をついつい考えてしまい顔が熱くなるのを感じた。
絶倫野郎というより思春期真っ盛りのやりたがりの青少年っぽいやないか!!と自分に突っ込んだ。
自分でもこんな風になってしまうのは久しぶりというより初めて……なのだった。
かなり年下相手に本気になっているんだから。
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