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第48話
◆◆◆
「みーくん、コンビニ行ってくる」
平蔵は財布を手にする。
みーくんは一緒に行くと着いてきた。いつの間にか自然に外に出れるようになっていて平蔵はみーくんの手を握ると一緒に部屋を出た。
相変わらずコンビニの前に屯しているヤンチャな若者達に挨拶をされる平蔵。
みーくんはヤンチャそうな若者は平気そうで怯える気配はない。年が近いからかも知れない。
みーくんも本当は友達と色んな事をした方がいいんじゃないかな?とか思うけれど、特殊な力とトラウマのせいで友達は欲しくないと言われた。
外に出れるようになったから「友達とか作ってみるか?」とお風呂に入った時に聞いてみたら首を振られた。
手のひらにへいぞうとひろせさんがいればいいと書かれた。
みーくんは気にしているのだ。自分の言葉で誰か死ぬのが怖いから。
自分がずっと居てあげるのはいいけれど、年相応の友人も……と考えてしまうのだ。
普通の生活を味あわせてあげたい。
コンビニで飲み物を選んでいたが「ごめんトイレ行ってくる」と平蔵はみーくんの側を離れた。
みーくんはトイレ近くに置いてある雑誌の側で待機していた。
きっと、油断していたのだ。
「お待たせ……」
平蔵がトイレを済ませて戻るとみーくんが居ない。
あれ?と思ったと同時に心臓がバクバクと一気に動き出した。
やばい!!と思った。
外に出ようとした瞬間にコンビニの中にたむろしていたヤンチャな若者の1人が入ってきた。
「あの……」
何か言いたそうに平蔵の前に立つ。
もしかしてって思った。
「なあ?俺と一緒にコンビニにきた子知らない?」
「やっぱ、あれってあの子の知り合いじゃなかったんだ」
彼の言葉に平蔵は真っ青になる。
「どこに行った?」
平蔵はそう言ったと同時にコンビニの外に出ていた。
「男が2人、コンビニの中に入っていって、あの子を連れてワゴンに乗り込んだんです」
「どっちに行った?」
「怪しかったんで仲間の1人にバイクで付けさせてるんで後ろ乗ってください」
ヤンチャな若者はバイクを指さす。
「いや、君が後ろに乗って!」
平蔵はバイクに跨ると広瀬に電話をかける。直ぐに電話に出てくれたので「みーくんが誘拐された、今から追いかけるから俺のGPS拾って追い掛けてくれ」とそれだけ言うと電話を切った。
平蔵はポケットにスマホを入れるとバイクを走らせる。
◆◆◆
「あれ?先輩どうしたんですか?」
必死の形相で通路を走る広瀬に後輩が声をかける。
「誘拐事件だ!」
「えっ!」
広瀬は叫ぶと後輩の横を走り去る。「先輩!!」後輩も広瀬の後を追う。
不気味なくらいに静かだったのはみーくんの居場所を突き止めていて、1人になる瞬間をずっと待っていたんだ!!
広瀬は油断したと歯ぎしりしたかった。
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