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第52話
◆◆◆
「なんじゃこりゃー!」
現場に後輩と着いた広瀬は叫んだ。
ビルの入口にボコボコにされた男達が倒れていて……中に入ると色んなものがなぎ倒されている。
平蔵……あいつ……。
広瀬は頭を抱える。本当、怒ると手がつけられないから……とボコられた男達に同情する。
「あ、親分なら上です」
ヤンチャな若者2人が広瀬を見て上の指さす。
「親分?」
一瞬、誰の事?と思った。みーくんを連れ去った男の手下かな?と思ったがこの2人は男達をボコっていた。
「た、助けてくれ」
よろよろと広瀬に助けを求めて血を流しながら来る男は……えーと、みーくんを拉致った奴の手下かな?
「平蔵親分のお友達ですよね?」
ヤンチャな若者に言われ頷く広瀬。
平蔵親分って……。似合い過ぎる……と笑いが出そうになったが「そうだ……よ?平蔵上なのか?」と聞いた。
「はい」
ニコッと微笑まれ「こいつら、一応しょっぴけ」と後輩に言う。
「えっ?彼等も?」
若者2人を聞くが「彼らは違う平蔵の子分で誘拐された子を助けに来たんだよ」と説明。
多分、そうだよな?と思いながら上に向かった。
◆◆◆
みーくんは震える手で脱がされたジーンズをはく。
そして、ボコボコにされている叔父を怯えた顔で見ている。
「平蔵、もう止めろ!」
広瀬の声がした。
上にいくとドアが壊された部屋の前に男が倒れていた。
中を覗くと男をボコボコにする平蔵と怯えるみーくんを見えた。
平蔵を羽交い締めにして男から引き離した。
「お前、みーくんが怖がってる!もう、やめておけ!」
広瀬の言葉に我に返りみーくんをみた。
確かにガタガタと身体を震わせている。
「みーくん」
平蔵はみーくんを抱きしめる。
「大丈夫?」
抱きしめながらに聞く。
「へい……ぞう」
震える声で名前を呼ぶみーくん。広瀬もえっ?という顔でみーくんをみた。
「みーくん……声」
平蔵は涙いっぱいの瞳でみーくんを見つめる。
「平蔵……」
みーくんは涙を零して平蔵にしがみついた。
「偉いねみーくん……ちゃんと声だせたね。頑張ったね」
平蔵はみーくんをぎゅっと抱き締める。
「みーくん……声」
広瀬も笑顔になる。
声が出せた。
みーくんは自分でも驚いている。
「平蔵」
「みーくん」
みーくんは何度も平蔵の名前を呼んだ。
◆◆◆
平蔵に殴られた叔父は床を這ってドアに向かった。
ドアの近くに仲間が倒れていて、彼が持っていた銃が視界に入った。
広瀬が叔父が居ない事に気付いたのと銃が平蔵に向けられたのとそれは同時だった。
「平蔵!!」
広瀬が平蔵の名前を呼んだ瞬間、引き金は引かれた。
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